hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

「♪国境も無い」を初めて実感できた日

僕は今、自分の記憶を必死でたどり、普通とは違う形や色の石っころを探している。一つでもそれを見つけると、その石を一生懸命に磨き、文章で表そうとしている。

 

今日の石っころは、忌野清志郎の「イマジン」だ。言うまでもなくジョン・レノンの名曲だが、清志郎はそれを日本語にして歌った。そこで(ジョンもそうだけど)「天国は無い ただ空があるだけ 国境も無い ただ地球があるだけ みんながそう思えば 簡単なことさ」と歌った。

 

30代前半、僕は一人でタイに行った。ムエタイを生で観てみたいというのが一応の理由だった。海外へは数回行っていたので多少は慣れていたのだろう。僕は、バンコクから飛行機でチェンマイ、バスでチェンライへ行き、1泊ずつして、さらに北部の国境に接するメ―サイという名の町へ行った。「一度国境というものをを見てみたい」と言うのがそこへ行った理由だった。町に着いてからさっそく外に出て国境を探した。それはすぐに見つかった。しかしあるにはあったが、ただの道だった。地元の人達はそんなもの関係なく行き来して買い物をしている。ツーリストの僕にはもちろんパスポートの提示を求められたけれど、それだけだった。すんなり、隣国のミャンマーに入った僕はいつものように市場らしきところで人間ウォッチングをしていた。いつのように見慣れた東南アジアの風景だった。目新しいものは何もない。

 

その時に僕の頭の中に流れた曲が清志郎の「イマジン」だった。そして「これが国境か。他の地域と同じように、そこに生まれ育った人が普通に暮らしているところなんだ」ということを実感した。

 

「人間が作った境目を、人間たち自身がこんなの関係ないぜ、と思えばいろんなことが解決するんだぜ、きっと」という意味がこの歌詞には込められているのだろう。何を能天気な、地球上には今現在も大変な緊張状態にある国境もあるんだぞ、と言われそうだ。僕ももちろんそれは理解している。しかし、もう一か所行ったカンボジアとの国境地帯では、両国の兵士が煙草を吸いながら談笑していた。その姿を見た僕は、「そうか、そうだよな。何も隣同士だからといっていがみ合ってばかりじゃないよな」と思った。

 

日本は地面に国境がないのでそれをイメージすることが困難である。しかし、実際に行って国境を見てみると分かることがある。それぞれの人がそれぞれのことを感じるはずだ。ジョン・レノン忌野清志郎は3分間で表現してみせた。

 

ちなみに目的の一つであったムエタイも面白かった。戦う男達、トレーナー、プロモーター、お金を賭けている客、それを取り巻く女たち。全てが「猥雑」だった。