今日は人間ドックに行ってきた。「学校を堂々と休めていいね」と言われそうだが、僕にとっての人間ドックは「試練の時間」だ。僕は「病院」が大嫌いで、そして「待つこと」も大嫌いだ。みんなそうだよとみんなから言われそうだ。だから僕も久しぶりに真人間になろうと、いつもより気合を入れて早めに家を出たのに、もうかなりの人が来ていて焦った。仕事だといくらでも子どもに対して待っていられるのに、こういうところではイライラしてしまう。今日も最後の最後にそれが出てしまった。まあ、無事終わったからいいけど。
よかったことのひとつは、体重だ。ここ数年の僕の体重は成長しっぱなしだった。しかし、ついにグラフが下がっていた。自分でも自覚はある。少し痩せたなと。多分おじいちゃんに近づいているのだろう。そういう体重の減り方をしているような気がする。
もうひとつよかったことは、胃カメラのスキルが高くなっていたことである。胃カメラにスキルなんてあるのかよ、とこれまた言われそうだが、僕はある、と思っている。僕は勿論鎮静剤を打ってもらって胃カメラに臨むのだけど、どうも駄目だ。上手くいかなくて、いつも大変つらい目に遭う。昔誰かが、「死体のようになればいいんだよ」と書いていたが、僕は死体にはなれないのだ。死体になることこそがスキルだと思うだけどな。しかし、今日はかなり死体に近づくことができた。ひとえに看護師さんの助言のおかげである。「はい、息を吸って」「吐いて」と最後まで優しく僕を誘導してくれた。
悪かったことは、血圧だ。何だか異常に高いぞ。そう思っていると看護師さんも「高いですねぇ」と言って再び測ったが結果は同じだった。歳を取ったら僕は、脳卒中や心筋梗塞で死ぬことになるのだろうか。ああ、こわい。
最後の関門であった胃カメラが終わりホッとしていたが、いつまでたっても呼ばれない。業を煮やした僕は受付に行って「もう着替えていいかな?」と穏やかに言った。こういうところがいけないんだよな。「次に呼びますから」と言われた僕はすごすごと席に戻った。そして医師から所見を伝えられ、素直に聞いて、やれやれと思っていると、看護師がやって来て「こちらへ来ていただけませんか」と言うではないか。そういえば昨年は食事等の指導を受けた方がいい、と言われて無視した覚えがあるな。きっとそっち関連の説教だと思い、話を聞くとやはりそうだった。僕は体重が減ったことや運動をしていること(本当は今はしていない)、食事に気を遣っていること(今はしていない)などの嘘八百を並べたて、指導を拒否した。
このお説教(?)が終わってやっと無罪放免となった僕は無事家に帰ることができたというわけである。
そこからは、ジョージタイムだ。「クラウド・ナイン」「リビング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」「ブレインウォッシュド」を立て続けに聴き、そして取り込んだ。こういう時、アップルミュージックはホントに便利だ。あとは多分「オール・シングス・マスト・パス」を今日中に取り込むだろう。
というわけで「おめでとう、佐野元春、40周年」の後半である。
9 ロックンロール・ナイト
10 ヤング・フォーエバー
11 禅ビート
12 バイ・ザ・シー
13 La Vita e Bella
14 エンタテイメント!
15 誰かの神
16 優しい闇
17 悲しきレイディオ
18 SOMEDAY
19 アンジェリーナ
アンコール
20 約束の橋
以上20曲が放送された。僕としては、ザ・コヨーテ・バンドの曲(11~16)が堪らなく良かった。「禅ビート」のイントロが流れた時は「やった!いよいよコヨーテ・バンドの曲が始まるぞ」って思ったよ。サビの「鳥のような翼はないけど 飛び方は誰よりも分かってる」「光の小旅行続いてゆく いったい自分は何者なんだろう」と何回も歌う佐野がかっこいい。
意外だったのは「バイ・ザ・シー」だ。イントロからもう様子が違う曲になっている。パーカッションやキーボード、ギターやベースが有機的な繋がりを見せて(聴かせて)音が分厚くなっている。テンポは原曲より遅い。そこから冒頭ヘヴィな歌詞が続く。しかしサビで「週末は君と町を離れて海辺のコテージ バイ・ザ・シー」と歌う佐野。救いを盛り込むのは佐野のスタイルのひとつなのだろう。
「La Vita e Bella」も「君が愛しい 理由はない 言えることはたった一つ この先へもっと」とこれもどこまでも肯定的に歌う。そしてマイクスタンドからマイクを引きはがし、ステージの端のほうまで行って歌う佐野。この姿もかっこよかった。
「誰かの神」では、「ある日聖者を気取ってる妙な人にあった 君のことを知ってるよ」 「愛について良く喋って 破れた心も上手に 神秘を気取って空っぽだ」「どこかの教祖になりたいか 誰かの神になりたいか」とどこまでもアイロニカルに歌う歌だ。誰のことを言ってるんだろう。僕はこういう佐野が一番好きかもしれない。
「優しい闇」では「何もかも変わってしまった あれから何もかも変わってしまった」「一つだけ言えること この心、どこにいても君を想っていた」「何だろう 人はあまりに傲慢だ 帰り道を失くしているのも知らずに」「なぜだろう 人はあまりにも残酷だ 約束の未来なんて どこにもないのに」と厳しい現実を歌っている。でもメロディが優しいからくちずさんじゃうんだよな。
17からは「お約束タイム」だ。しかしこういう場ではかなり大事なお約束を果たさなければいけない。それは、見事に果たされた。「悲しきレイディオ」では、途中テンポを落としピアノだけにして、客を煽りまくる。返事は出来ないんだけどね。
そこから「SOMEDAY」「アンジェリーナ」「約束の橋」と鉄壁の曲を演奏する。
佐野はよく曲が終わると客に対して両手の人差し指を向ける。彼の気分がいい証拠だ。この「指さし確認」はチャボもよくしている。嬉しくなるとしたくなっちゃうのかな?