hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

村上春樹「辺境・近境」を読んで行なったこと

それは讃岐うどんを食べに行ったことだ。この本は文庫版で平成12年6月に発行されている。出版されてすぐに購入して読んだと記憶しているからもう20年ほど前になる。「讃岐・超ディープうどん紀行」の章を読んで、いたく感銘を受けたから、というわけでもないが、この紀行文がじわじわと僕の心の中にあったうどん魂に火をつけていったのは間違いない。讃岐うどんブーム黎明期の頃だった。

 

 

事の発端はその年の9月のある夜に妻に「ねぇ、今度の3連休どうする?」と尋ねられたことである。僕はすぐに、「讃岐うどんを食べに行こう」と答えた。妻はえっという顔をして、「もしかして村上春樹?」と言った。僕は妻に尋ねられるまでそんなこと思いもしなかったので自分でも自分の言ったことに驚いていたが、すぐに決心した。そして10月の3連休を利用して行くことになった。いやあ、自分がこんなに行動派だったとは。というくらいの勢いだったな。

 

あれから約20年。ほぼ毎年の年末に妻と行くようになった。行く店はほとんど決まっている。

 

定宿を予約しておいて、昼頃家を出て車で坂出市に向かう。夜に着き、まずは一軒。次の日はもちろんホテルの朝食はキャンセルし、うどん屋へ一直線だ。大体午前8時頃に着いてその日の一軒目。それから移動してすぐに二軒目。という風に昼までひたすらうどんを食べる(少なくても4軒)。昼過ぎになるとお腹一杯になるのでその日のうどん活動は終了である。妻は店でうどんを食べ終わるごとに熱心にうどんや店についてのメモを取る。ホテルには早目に帰ると伝えてあるので、ホテルの喫茶店で帰り道に買った本をしばらく読んで部屋に入る。大体15時頃かな。それからは、まったりタイムだ。スーパー銭湯に行ったり眠ったりしている。妻はうどんメモの整理に忙しい。夜はホテル直営の居酒屋で地物を食べながら軽く酒を飲む。

 

次の日も同じように行動して(店も同じだ)、昼頃帰途に着く。18時頃家に着き、旅は終わる。これを20回近く行っている。よくもまあ飽きないものだ。とは思わないんだなぁこれが。毎回いろいろな発見があって面白い。それにやっぱり讃岐で食べるからこその讃岐うどんであることは間違いない。しかし、20年も経つと風景も変わるものだ。初めて行った時は、ナビやスマホなんてない時だったから、インターネットで情報の欠片を集め、目指す店を探していた。今ではもう、大体目的の店の行き方は覚えてしまっている。

 

自分の住んでいる町以外でこれほど道に詳しくなったのは初めてだ。

 

 

今年の年末は讃岐に行けるのだろうか。