hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

400ーチアイとの会話Ⅲ―②

「シンヤさんへの支援は、私が見たところ2回あったわ。式を解読する時、『自分が考えた式でやって』って言ったでしょ。あれでシンヤさんは安心して取り組むことができたと思う。それにリレー方式で3こを囲んだ時の順番もあなたはシンヤさんのことを考えていたでしょ。授業の最初にシンヤさんを指名した時はびっくりしたけど。」

 

「リレーの時は前の2人と同じパターンになるようにとっさに決めたんだけどよく気がついたな。まあシンヤが安心して囲めたのならよかったかな。それから授業の最初は、全員が答えられるような発問をするよう心がけているんだ。シンヤにも分かるようなね。でも今日はちょっとドキドキしたな。でも上手く答えられてよかった。あれでシンヤも最初から授業に参加することができたかな。」

 

「そういう細かい配慮がなされた授業だった。そういう意味で生徒指導の3機能が生かされた授業、っていったの。」


「昨日の『勉弱』や今日の『今当てられたら困る人』っていうのは、偉い先生の受け売りだよ。他にもいろんな先生からのワザを自分なりのフィルターを通して使っているよ。子ども達にとっては、結構自分達を追い込む先生だなっていう印象を持ったと思うよ。」

 

「でも、授業を見ている方はそれが高圧的には見えないの。『俺』は、みんなの発言を受け止めていたわ。スズカが最初の問題で、2こずつ数えたことも、最後の方でちゃんと拾っていたわ。発言した子はどの子も発言したくてしていたわ。『俺』に認められているって感じていたから。それに最後の振り返りの場面で、一人一人に声をかけていたじゃない。あれも子ども達にとっては、認められているって感じたと思うわよ。」

 

「チアイ、俺の手を見て。この中指が学力が高い子で、親指が低い子だとする。」

 

「ええ。」

 

「さっきも言ったように、子ども達はこの5本の指のように学力がバラバラなんだ。でもそれが授業を通して少しでも伸びればいいと思って俺は仕事をしているんだ。親指の子が伸びても中指の子に達しなかったとする。だとしても本人が伸びたって思うことができればいいと思っている。親指の子が少しでも伸びるためには、『学び合い』のある授業をしていかなければいけないんだ。自分で学習内容をつかむためにね。今日は、その芽が少し出たんじゃないかな。」


「『俺』は『絶滅危惧種』なのよ。」
突然耳慣れない言葉が耳に入ってきた。
「今何て言ったの。」
「『絶滅危惧種』。もうあんな授業をする先生はほとんどいないってこと。」
「それ、誉め言葉かな。」
「勿論。若い先生に見せてあげたい授業だったわね。」
「誉めても何も出ないぞ。」
「じゃあ、今からダメ出しをするね。」
「おぅ。」