今「400」を読み返してみると、かなり恥ずかしい。しかも今のこの状況に合っていない。当時(まだ昨年の秋のことだ)は一生懸命書いていたけれど加筆修正できるところはしていこうと思い立ちました。でももう「400」に書いてあるような授業はできないかもしれないな。現実の世界では。
「400」
400!
字詰めに煮詰めて
己を見つめて言葉を沈めて
400!
世の中の嘘800
真っ二つに切る言葉
~Shing02~
目次
一回目
1始まり
2授業Ⅰ
3チアイとの会話Ⅰ
4過去Ⅰ
5妄想小説
6チアイとの会話Ⅱ
二回目
7授業Ⅱ
8チアイとの会話Ⅲ
9過去Ⅱ
三回目
10再会と別れ
フォーハンドレッド外伝
再生へ
一回目
1 始まり
ふぅ。やっと一日が終わろうとしている。私は、買い物から帰ってもうすっかり習慣になった手洗いをした後、煙草に火をつけ、ニック・ケイヴを聴いていた。そして17時30分になるのを待った。17時30分からなら酒を飲んでよし、というのが私の決めた勝手なルールだった。アルコールとニック・ケイヴは相性がいい。あの低い声が合うんだろうな、きっと。私のスマートフォンには日々ニックの曲が取り込まれている。今日はビール500mlを2本とジントニックかな。
こんな生活、つまり連続飲酒をする生活が何ヶ月続いているのだろう。少なくとも3ヶ月は続いている。ビール2本を15分で飲み終え、すぐにアルコール度数の高い酒(大体はジンかラムだ)を飲み始める。ニック・ケイヴを聴きながら。頭がグラグラするまでひたすら飲み続け、最後は酒で眠剤を流し込んで寝る。毎日深く眠ることはできなかった。途中覚醒が何度も訪れたが、不思議と二日酔いはしなかった。夢は見なかった。とにかく頭の中をグラグラさせて今年前半に起きたことを忘れたかった。
もともとアルコールが好きなわけではないのに何故こんな風になったのか。一番の原因はやはり仕事関係だ。同僚と上手くやっていけなくなった結果だ。いやでもそれだけじゃない。今のこの状況にも辟易している。人々はわけの分からない疫病を怖れ家に籠り、経済は止まっている。そんなことをあれこれ考えているうちに17時30分になった。私は立ち上がり、冷蔵庫へ向かった。
その時である。
コン、コン、コンとノックの音が3回聞こえた。