昨夜は、おのれの頭の力というか脳の力というかそんなものの恐ろしさを思い知った。何のことかというと、夢のことである。つまり悪夢と良い夢の両方を見たということだ。
事の始まりは、ザ・ドアーズだった。いつものように眠る直前に「今日はザ・ドアーズだ」と閃いたので、半分眠りながら検索するとライブアルバムがたくさん発表されていた。
適当に見繕って聴き始めたんだけど、眠りに落ちながらも「これはいい!ジム・モリソンのシャウトがかっこいい」と思った。
しかし、その後の夢が酷かった。今ではよく思えていないが、なんか「八甲田山死の彷徨」というか「地獄の黙示録」というかとにかく山を決死の覚悟で下りる俺、みたいなとても辛い夢を見た。そしてうすぼんやりと、ザ・ドアーズの音楽が聴こえてきたように記憶している。
深夜0時にあまりの辛さに目覚めた僕は、これはいかんと思い、音楽をムーンライダーズに変えた。そしたら、おんなじ山を下りるというシチュエーションであったにも関わらず、自分がまるで「コトー診療所」の後藤先生のように、苦しんでいる人を助けながら励まし合って山を下りるという夢になった。
初めに脳の力って恐ろしいと書いたが、同時に聴く音楽によって夢はだいぶ変わるようである。音楽の力も相当なものだ。
本当は、いい睡眠のためには音楽は邪魔なのかもしれない。しかし、長年の癖がどうしても抜けずにここまで生きている。そして今頃になって聴く音楽によって夢の内容が相当変わるということを思い知った。
夢の話で始まったが、そう言えばこういうこともあった。先週だったと思うんだけど、3日続けていい夢を見たんだよね。それでも中途覚醒はするんだけど、そこで気合を入れて「この夢の続きを見るぞ」と思ってもう一度眠りに入ると、本当にその夢の続きが見られたんだよね。これには驚いた。まあたま~にそういうことはあったかもしれないが、3日続けてだなんて初めてである。一旦目が覚めたけれど、そのあと夢の続きを見られたっていう経験ってみんなしてるのかな?
というわけで本題に入ろう。1月頃にNHKで「星野源と松重豊のおともだち」という番組について記事を書いた。その番組が昨日最終回だった。最後の3回(沖縄編、金沢編、能登編)を続けて観たが、やはり2人に圧倒された。
何に圧倒されたのかというと、前回記事に書いた通りのことである。松重豊は僕よりひとつ歳上なのに、軽やかに音楽を聴いている。それも古今東西若手もベテランも含めてだ。それは、俳優という表現を生業にしている職業に就いているからこそなのかもしれない。そして僕には僕の音楽の聴き方というものがあるので、それはこれからも変わらないというようなことを書いた。
今回改めて圧倒されたのは、星野源である。もちろん音楽家なので、生活の中心に音楽があるのだろうとは思う。でも沖縄編ではロバート・ジョンソンを選曲し、「中学の頃はブルースのソロばかりを弾いてました」と言ってみたり、ディープ・パープルの「ハイウェイ・スター」を流したり、能登編でマーヴィン・ゲイ&タミー・テレルの曲(マーヴィンのソロじゃなくって1960年代のモータウン時代の曲)をかけたりするもんだからその音楽的素養の広さに驚くほかなかった。
もちろん、現代で活躍しているミュージシャンも選曲している。彼の中に埋蔵されている音楽情報の量にただただ圧倒されるばかりだった。1960年代の音楽も2000年代の音楽も同じテンションで聴くことができる人というのは、なかなかいないのではないだろうか。
そして番組の最後に、音楽を聴き続けている理由として松重豊は次のように語っていた。
「僕が若い頃から音楽をずうっと好きで未だに漁っているっていうのは、まだ『ほらほら』って言うようなバンドだったり個人だったり日本人だったり外国の人だったりっていう人たちがやっぱり次から次へと出てくるから、『ほらほら、好きなところにはまだいっぱい音の鉱脈があるじゃん』っていう意識がやっぱりあるからこそ今でもこうやって音楽が聴けてるなっていうことではあるな」
これは、62歳の人だからこそ言えるのか、松重豊だから言えるのか。どちらにしてもやっぱり松重豊って凄いな。
そして最後の最後に東京で初めて出会った友人(甲本ヒロト)についても語っていた。
「東京に出てきて最初に出会った友だちが音楽が好きで、そいつとホントに他にないんだけど音楽ばっかり聴いてたっていうことが未だに体の芯に残ってて、ホントにそいつに自分が何か物を作る時には手伝ってほしいと思って、で映画の主題歌作ってくれたんで、最後は彼の曲をかけたい」
と言って、ザ・クロマニヨンズの「空腹と俺」をかけた。これにはクゥ~ってきたな。
星野は松重に「出会った頃はお金なくて、あんま食えないみたいな時期だったと思いますけど、その時の感覚とか思い出って残っているものですか?」と問う。
松重は「残ってるし、あの時とやってること二人とも何も変わっていないし、俺ら達成感あるよねっていう感じでもないし、未だに『俺、なんかやりたいんだけど一緒にやらない?』っていう気持ち?付き合ってくれる?ありがとう!っていう感覚で、俺本当に奇跡的な奴と東京で出会ったんだなって思って」と言った。
続けて、「もう見た目もホントに二人ともジジイになっちゃったんだけど、俺映画のキャンペーンで当時のバイトの服着た格好で写真撮りたいって言ったのね。それ着た瞬間に全くあの頃に戻るんだよね」とも語っていたのが印象に残った。
この感覚は、僭越ながら僕にも少しは分かる。30代40代の僕は、時々10代の自分の感覚に戻れるかをよく試してみて、「よしっ、いける」なんて思っていた。しかし、そんなことをしなくても近頃は、当時聴いていたレコードを聴くことであの頃に戻っている。多分大きな病気をしていないことも関係しているんだと思う。命を脅かされる経験をするとまた違った感覚になるんじゃないかなって思っている。
というわけで「星野源と松重豊の『おともだち』」という番組について再び書いてみました。
あ、忘れてた。先日税務署から「還付金の処理状況に関するお知らせ」というメールが届いたんだった。つまりは確定申告を無事恙なく終えることができた、ということになる。多分。大きな仕事をやり遂げることができて僕は大変嬉しい。
それでは。