昨日は、僕のパイセンJUNさんのことを書いたが、その記事に対してコメントを残してくれた。紹介しちゃいますね。
“いやいや、偉そうなこと言ってるようですんません。
以下を自問自答しております。
若いころに影響を受けたものに拘りすぎで、新しいものを素直に楽しめない爺になってしまった、、
いやいや、本当に最近のものは、過去の焼き直し、飾り立てたものに過ぎず、もう新しいものは出てこないのだ、、
悩ましいです。”
現在60歳以上の方で、青春時代にロック音楽を熱心に聴いてきた人は、このように考えている方も多いと思う。
どんな表現でも構わないが、新しいもの(新しい表現形態)が生まれた時には、どんどんとアイディアが生まれる。つまりどんどんと名作が生まれる。その後、名作の亜流とでもいうべき作品も生まれる(この中にも名作が生まれることもある)。それと前後して「こりゃあ、商売になるわい」と思った人が、商売としてというか産業として、その表現形態の拡大再生産をどんどん進めていく。その頃には、あの瑞々しかった初期のような作品は生まれてこない。このことは歴史が証明している(←キッパリ)
だからJUNさんの最後の言葉には、僕も同感である。
1950年代にロックンロールという表現形態が生まれてから、それこそ1975年くらいまでは、新しいアイディア、名作と呼ぶべき作品がバンバン発表されていた。同じ年にマスターピースと言えるような超名作が何枚も発表されていたのだ。ちょっくら調べてみっか。
「1972年に発表されたロック名盤」で検索してみたら、以下のような作品が示された。一応僕の好みだけ書いておく。
ジギー・スターダスト:デヴィッド・ボウイ
メインストリートのならず者:ローリング・ストーンズ
危機:イエス
ハーヴェスト:ニール・ヤング
マシン・ヘッド:ディープ・パープル
サムシング/エニシング?:トッド・ラングレン
スライダー:T.レックス
トーキング・ブック:スティーヴィー・ワンダー
スーパーフライ:カーティス・メンフィールド
12枚を選んでみたが、僕はそのうち10枚をレコードで持っている。僕がレコードで持っているということは、きっと後世にまで語り継がれるべき作品だということだ。他にもまだまだあったぞ。1972年という1年間だけでこういう名作が発表され続けていたのだ。
それに比べると2000年代以降は(いやもっと前からかな)、薄味と言わざるを得ない。僕がいくらヴィンテージ・トラブルを推しても、これらの作品群と比べたらそりゃあ負けるわな。
とは言え、僕にはまだ心躍らす今の音楽を発見してみたいという気持ちを持っているのも事実だ。そんな時にNHKの「星野源と松重豊のおともだち」という番組に出会った。これは、1月7日から放送が始まったのだが、1回目を見逃してしまった。そして2回目を昨日観てみた。
“音楽を愛するあのふたりが、今度は旅に出る!「音楽をいろんな環境と混ぜてみよう!」星野源と松重豊、「音の友達=おともだち」が旅をしながら音楽を聴き、語り合います”
というわけで、2回目は2人が韓国に行って、いろんな場所でいろんな音楽を聴いていた。韓国ということで韓国のアーティストを採り上げることが多かった。
驚いたのは、松重豊だ。星野源が「これなんかどうです?」とその場に合った音楽をかけると「いいねぇ~」と反応し、「じゃあ、これは?」とすぐさま自分のお気に入りを紹介する。それも韓国の先鋭的なアーティストである。星野も「あっ、それいいっすねえ」と答える。
松重は62歳である。つまり僕のいっこ上である。また甲本ヒロトとは旧知の中であり、最近ではヒロトに映画の音楽も頼んでいる。その松重が軽やかに音楽を聴いているさまを見て僕は、「いいなあ」と思った。つまり、拘りなく色々な音楽を楽しんでいる、ということなのだろう。あんまりロック然としていないっていうか。
もしかしたら俳優業というのも関係しているかもしれない。それこそいろんな人を見てきていろんな話をする機会がたくさんあったのだろう。そして星野源とおともだちになった。星野源の音楽はほぼ聴いたことのない僕であるが、彼が平沢進好きなのは知っている。もうそれだけで好印象だ。
僕は、JUNさんのように深く音楽を聴くことはできていないし、松重豊のように軽やかに音楽を聴くということもしていない。しかし音楽は自分の生活に根ざした大切なものである。音楽は音楽としてただそこにあり続けるわけだから、僕は僕の聴き方をしていけばいいんだけど、ちょっとは人に言える何かを持っていたいと思っちゃうんだよね。
番組の中で松重豊が紹介した音楽のひとつがこれだ。自分だけでは絶対見つけ出せないので、こういう知り方をすると嬉しくなってしまう。
かつて渋谷陽一は「音楽は進化するもんなんだよ」と言った。それに対して作家の山川健一は「いや、深化するんだよ」と言い返した。しかし渋谷は、全くブレることなく新しい音楽を見つけ出そうと努力していたように思う。これを読んだ当時の僕は、山川健一ってかっこいいなぁと思ったし、今もそう思っているが、TOKiMONSTAみたいな音を聴くと、「これもいいな」(つまり渋谷の考え方もいいなっていうことだ)と思ってしまう。
それでは。