ハンカチを持って行けばよかった

一昨日から、探偵のようなことをしている。我ながら何してんだ俺、と思わないでもないが、今日はかなり探偵気分を味わった。

 

 

発端は、近所の火事である。母から連絡が入り、世話になってる人だから火事見舞いを持って行ってくれと頼まれた。でも、さすがに火を出した直後はいかんだろうと思い、その日は何も動かなかった。そして次の日に現地に行った。

 

 

火事が起こった家では、まだ警官が現場検証をしていた。車を停めて警官にご家族は今どこにいるのか尋ねると分からないと言う。しょうがないので、近くにたむろしていたおじちゃん達に訊くと、「○○町の姉妹の所に行ったようだ。でもはっきり分からないから町内会長に訊けば?」と言われたので、町内会館を探して、会長に訊いてみた。

 

 

そしたら「○○町の○○さんのところらしいよ。でも俺は、もう少し落ち着いてから行くつもりだけど」と大体の地図を書いてくれた。僕は礼を言い、○○町に行ったが、目指す家は見つからない。そこで、近くの老人ホームに行って尋ねてみた。

 

 

ホームの方は親切で、地図を広げて探してくれたようだけど、「この町に○○さんって方はいませんねぇ」と言った。ここでも礼を言い、その後歩いて表札を見て歩き、数軒の家にも尋ねてみたけれど、結果は同じだった。

 

 

昨日は、行きつけだった散髪屋が近くにあったので、そこで訊いてみた。でも何にも知らないと言う。僕は打つ手がないと思って、そのまま家に帰った。

 

 

今日は、映画を観てから、もう一度火災のあった場所に行った。ちょうど隣の隣が羊羹屋だったのでそこで訊いてみたら、「知らん」とそっけなく言われた。もしかしたら、結構怒ってたかもしれない。まあ、すぐ近くで火事を起こしたんだから怒って当然か、と思い隣を見ると人がいたので、そこにも突撃した。

 

 

そしたら、「○○町じゃなくて□□町だよ」って言われた。名前は同じだったので、早速□□町に行った。しかし手懸りがない。そこで、すぐ近くの公民館に行って訊いてみた。そしたらそこの人も親切に探してくれたし、僕も実際に□□町の地図を注意深く見てみたがどこにも見当たらない。しかし空き家って書いてあるところもあったから、自分で探してみると言った。

 

 

帰ろうとしたら、もう一人の係員が、「○○病院に入ってるようですよ」と教えてくれた。しかし、全員が入院しているはずがないだろうと思ったので、一旦礼を言ってから、□□町に行き、車を停め、車庫に車が置いてある家を片っ端から訪ね、訊いてみた。

 

 

結果は全滅だった。しょうがないので、○○病院に行って訊いてみたら、確かに入院していると言うではないか。でも個人情報なので・・・とそれ以上のことは教えてくれなかったが、食い下がってみたら火事を出した家の隣家の人が入院していることが分かった。

 

 

今日は、もうダメと思ったのでそのまま家に帰った。それにしてもあちこち車で動き回り、車から降りて歩き回り、家々を聞き回りとなかなか大変だったが、俺って探偵か?と思い、もうこうなったら絶対突き止めてやるという思いがふつふつと沸き起こったのも事実だ。

 

 

 

 

 

 

このままだと火事見舞いの話で終わりそうだが、別の話題でもうひと頑張りしてみるか。

 

 

 

さっきも書いたが、探偵ごっこをする前は、映画を観てきた。「TOKYOタクシー」という作品だ。山田洋次が監督、倍賞千恵子木村拓哉が主演で、「パリタクシー」という作品のリメイクだということだ。

 

 

山田作品なので、安心して観られるだろうと思い、公開初日の今日、勇んで観に行った。さすがにお客さんは、今までと違い、20人以上はいたかなあ。

 

 

山田洋次作品には、小さくて素敵なエピソードを積み重ねていき、最後に盛り上げてくれる、という印象を持っているのだが、今回もその通りで素敵なエピソードがたくさん散りばめられていた。

 

 

個人タクシーの運転手である木村拓哉が、柴又帝釈天から葉山まで乗せていってほしいという倍賞千恵子を客として乗せて始まる映画だが、たった1日の出来事とは言え、ロードムービーのような味わいがあった。

 

 

途中で倍賞千恵子の回想シーンが語られるが、そこで「あちゃー、これはちょっと面白くないかも」と正直思った。しかしその回想シーンでの蒼井優の演技が素晴らしく、いつの間にか映画に引き込まれていった。

 

 

結末は何となく分かる仕掛けになっていたとはいえ、最後の最後で思わず落涙してしまい、「しまった、今日こそハンカチを持ってくるべきだった」と反省した。

 

 

今思えば、最初から最後までとても気持ちよく観ることができたので、もう1回観たいと思っている。それにしても山田洋次93歳、倍賞千恵子83歳、木村拓哉52歳である。山田監督は、これで91作目でもしかしたらクリント・イーストウッド(95歳)を抜いちゃうんじゃないか、くらいの勢いのある作品だった。倍賞千恵子にしてもシャキッと凛とした演技で、まだまだいけそうだ。

 

 

これで、今週は映画を3本観たことになる。今のところ気になる作品は全部観た。年末にもう一度波がやってくるかもしれないが、映画館で観る映画は、やはりいいもんですな。

 

 

 

それでは。

 

 

家に帰ってYouTube動画を見ると、木村拓哉が山田監督について次のように語っていた。

 

「今回は、ものすごいテクノロジーも手段として使って撮影をしているんですが、あるシーンで『監督、ちょっとテクノロジーの関係で少々お時間をください』とアシスタントが言ったら、山田監督は『僕はテクノロジーを撮りに来ているんじゃなくて、芝居を撮りに来てるんだよ』っていう言葉を聞いた時に、僕も倍賞さんも背筋がピンっと伸びたことを覚えています」。

 

 

山田洋次、かっこいいなあ。