昨夜、寝る前にブルース・スプリングスティーンの「ネブラスカ」を復習しておこうと思って、検索したら新しく「ネブラスカ」の何とかヴァージョンっていうのが発表されてたのを見つけた。「映画に絡んだやつかな」と思って1曲目を聴いたらぶっ飛んだ。「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」のデモ音源だったんだけど、その緊張感たるや眠気が吹っ飛ぶほどだった。
それが凄すぎてか、昨日の夢は、僕が殺人を犯すという今まで見たこともないものを見てしまった。夢の中で延々唸りながらなかなか場面が進まないという状態だったから現実でも唸っていたのだろう。辛かったなあ。
そんで、朝になって「よしっ観に行くぞ」と思って、ポチっとチケットを買って景気よく映画館に向かったのが、9時半頃だったかな。5番館です~と案内されて入ったら客が一人もいなくて驚いたよ。そしたらその後3人入ってきた。つまり、4人でこの映画を観たということになる。
昨日書いたがほとんどと言っていいくらい情報を持たずに見に行った。「ネブラスカ」期のことを描いた作品であること、スプリングスティーンが相当正直に話してくれたということぐらいだったかな。僕が知ってることは。
だから、最初の最初に少年(スプリングスティーン)が母に連れられてバーに行き、父を帰るように促す場面を見た時に、「うん?これって伝記映画だったんか」と思ったくらいだ。
しかしすぐに場面は変わり、迫力満点のステージシーンが映し出される。「そうだよな、これだよ、これ」と思って見ていたら、何だかスプリングスティーンじゃない人が、スプリングスティーンを演じてる。再び「うん?そうなん?この映画には本人は出てないのか」と思い、しばらくしてようやく「そうか、彼がスプリングスティーン役なんだね」と思い至る始末だった。
そんで、「リバー」がヒットし、シングル「ハングリー・ハート」も大ヒットし、まわりのみんなはイケイケ状態だった頃から物語は進んでいった。
思いっ切りはしょって書くと、この調子でイケイケなアルバムを作って欲しい、いや作るだろうとばかり思うスタッフの思惑に反し、「ネブラスカ」という地味で暗い作品が出来ちゃったわけだ。
最初は上手くいった。「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」をバンドヴァージョンでスタジオ演奏した時は、スタッフみんな大喜びだ。しかし、何だかスプリングスティーンは浮かない顔だ。案の定、その後「ネブラスカ」をやっても「こんなんじゃない」と言って、結局バンドではやらずに自分が思う形で(つまりデモテープそのままの音源で)作品をリリースしたいと言い張り、しょうがないかと発売される。
でもねぇ、何でスプリングスティーンがこんな風になっちゃったのかが上手く伝わってこなかったんだよねえ。音に拘るのは分かる。昔「ボーン・トゥ・ラン」の制作ドキュメンタリーを見たが、曲や歌詞、バンドサウンドに拘る彼の姿勢がよく伝わってきた。
しかし、この映画では何で「リバー」のヒットの後にこんな「ネブラスカ」の曲群が出来たのか、何で車を猛スピードで走らせる必要があったのか、何でその頃付き合ってた彼女と上手くいかなくなったのか、何でロスに引っ越しして精神科医と話してるのかとかが上手く伝わってこなかった。何か自分で勝手に自爆してるような感じしか持てなかったんだよね。時々挟まれる少年時代のスプリングスティーンと父との関係が今の彼に影を落としているのかな、くらいしか分からなかった。
答えは、映画の最後に教えられていた。彼は鬱病だったのだ。だからこそ自分で勝手に自爆してるように描かれていたのだ。でも、それって最後に言うか?どっかでもっとそれらしく観る方に伝えてほしかったな。でもスプリングスティーンがここまで話してくれたからこそ出来た映画だったのだろう。
もう少し情報を仕込んでいけば、今日よりも楽しむことができたかもしれない映画だった。俺、最初佐野元春が「サムデイ」を大ヒットさせた後に、突然一人でニューヨークに行って(誰も望んでいなかったヒップホップを取り入れた)「ビジターズ」を作った、そんな感じかなぁと思って見てたもん。
そうじゃなかったんだね。「リバー」の大ヒット、その後に続いたであろう長いツアー生活。今までに経験しなかったことが、スプリングスティーンを疲れさせ、どんどん暗い方に向かわせ(でも曲自体は素晴らしい)、病状を悪化させることになったのかもしれない。僕は、鬱病じゃなくてそれこそ双極性障害じゃないかと思ったな。極限まで頑張って、その後ドーンと落ちるっていうところが。
そして、驚いたのが、この「ネブラスカ」を作った時期に次作の「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」収録の曲も出来ていたということだ。最初に書いたが「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」は、出色の出来だった。調べてみると1980年に「リバー」、1982年に「ネブラスカ」、1984年に「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」が発表されている。この頃ってMTVも勃興してきた時期と重なるから、ロックが商売になるって寄ってきた輩もたくさんいたんだろうなあ。
映画のレビューは読んでいないし、これからも読むつもりはないが、新しく出た「ネブラスカ」の何とかヴァージョンは気合を入れて聴いてみようと思う。
でも、何とか眠らずに観ることができたよ。最初どうしようって思っちゃったからね。
それでは。
このエコー感にボスは拘っていたのだ。確かにこれがなかったら曲のインパクトはもっと弱くなっていたと思う。