敬意を持って取り込む

映画「ブルース・ブラザーズ」(1980)では、後半に次のような場面がある。

 

 

いよいよ地元でコンサートを開くブルース・ブラザーズ。しかし、待てど暮らせど主役の2人はやって来ない。客も騒ぎ出し始めた。そんな時、司会役(孤児院の管理人)が「しょーがねー。俺がいっちょう時間稼ぎをするか」とステージに出て歌い出す。

 

 

なんだなんだと最初は訝しげに見守る観客。しかしその圧倒的なパフォーマンスで徐々に熱狂が生まれる。最後は、コール&レスポンスだ。司会役は観客を煽りに煽る。観客は大盛り上がりで、それについていく。

 

 

説明するより観てもらった方がいいかもね。これです。「ミニー・ザ・ムーチャー」。


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40秒~と1分27秒~と2分27秒~のところ。何度観てもサイコーだね。

 

 

ブルース・ブラザーズ」では、数々の有名ミュージシャンが登場するが、この人もそうだった。彼の名前はキャブ・キャロウェイアフリカ系アメリカ人のジャズシンガー、バンドリーダーで、エネルギッシュなスキャット唱法の歌手として知られている。彼のビッグバンドは1930年代初頭から1949年代後半にかけて、アフリカ系アメリカ人のバンドとしてはアメリカ最大級の人気を博した(ウィキより)。

 

 

映画に出た時は、既にいい年したおじいちゃんだった。しかしパワフルに歌い、客をあしらう姿が板についている。「ブルース・ブラザーズ」に出演している人は誰もが素晴らしいパフォーマーだが、もしかしたらこの人の歌が一番の出来だったかもしれない(いや、そんなことないか。どの歌い手、演者も素晴らしい)。

 

 

とにかく、さっき観ていただいた客とのコール&レスポンス。これは音楽をやる人だったら誰もが憧れたはずだ。RCサクセションもコンサートで似たようなことをやっていた。

 

 

しかし、これをスタジオ盤でやっちゃったグループがいる。それがサザンオールスターズだ。1981年発表の「ステレオ太陽族」収録の「我らパープー仲間」の後半である。これも聴いてもらえば一発で分かる。「我らパープー仲間」で検索すると、みんながみんな「これは『ミー・ザ・ムーチャー』だ」と書いている。まあ、そりゃそう言うだろう。




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2分50秒~のところだよ。

 

しかし、桑田以外に誰がこんな風に「ミニー・ザ・ムーチャー」を取り込めるだろうか。おっと「取り込む」なんて書いたが、ホントは「アイディアをパクる」だ。これは、簡単にやれそうでなかなかできることではないはずだ。やったとしてもダサくなること必至である。

 

 

「我らパープー仲間」を聴くと、2つのことが分かる。1つは桑田佳祐の言語感覚の豊かさ&日本語のリズム感に対する鋭さ、もう1つはパクる時は敬意を持つことが上手くいくことのコツだということだ。

 

 

 

同じように敬意をもってパクった例として、ザ・ブームの「島唄」がある。宮沢和史はこれは沖縄音楽を冒涜しているのではないかと悩み、喜納昌吉に相談したところ「何言ってんの、その音楽に誠意を持ってやればそれはコピーではないよ。貴方の音楽になるよ」と言われ吹っ切れたそうだ。

 

 

悩むところが宮沢らしいし、悩んだ形跡がないのが桑田らしい。僕は2人の取り込み方(パクり方)はどちらも好きである。

 

 

 

それでは。