新年あけましておめでとうございます、から始めるのが大人の作法だが、そうも言っていられない。今年の目標は昨日書いたので、早速挑戦開始だ。
歌詞について書くぞ。スターリンの「解剖室」である。
解剖室は空いたか? バラバラになって早く出ろ
解剖室は空いたか? バラバラになって早く出ろ
ホラホラホラ おまえの番だ ホラホラホラ おまえの番だ
手足もぎ取られた奴 頭ぶち壊された奴
何でもいいからそのままで 持って帰ろうとするな
ホラホラホラ おまえの番だ
手っ取り早く済ましてしまえ 手っ取り早く終わらしてしまえ
手っ取り早く騙してしまえ 手っ取り早く怯えてしまえ
ホラホラホラ おまえの番だ
解剖室は空いたか? バラバラになって早く出ろ
解剖室は空いたか? バラバラになって早く出ろ
ホラホラホラ おまえの番だ ホラホラホラ おまえの番だ
バラバラになって早く出ろ
僕はまず「解剖室」というタイトルに心を奪われたというか度肝を抜かれた。こんなタイトルの歌は見たことも聞いたこともない。
そして「解剖室は空いたか?/バラバラになって早く出ろ」である。どうやら自分自身で入って自身の体をバラバラにせよ、そしたら次の人が控えているのでサッサと出ろと言っているようだ。性急なことこの上ない。
「バラバラになる」ということは、今まで自分を構成していたあらゆるものをいっこいっこ取り外し、そして一旦ゼロにするんだ、ただの構成要素にするんだ、もっというと体に沁み付いている「意味」や「言葉」を引き剝がせという風に歌っているんだと思った。つまり今まで当たり前だと思って使ってきた言葉や思考を疑ってかかれということだと思う。そして「何でもいいからそのままで/持って帰ろうとするな」と畳みかける。変化しろというわけだ。
この歌を書いた遠藤ミチロウは、タイトルの「解剖室」と最初のセンテンスの「解剖室は空いたか?/バラバラになって早く出ろ」、これだけで(当時の)世の中の空気を一変させた。瞬発力のある言葉である。
それまでアコギ1本で歌っていたミチロウは、1970年代後半にNYパンクの洗礼を浴びた。特にパティ・スミスの「ラジオ・エチオピア」を集中して聴いていたそうだ。サウンドもそうだろうが、その拙速さにも影響を受けたのではないだろうか。そして浮かんだのが「解剖室」という言葉である。
今まで使ってきた言葉を捨て去り、新たに作り直す。その言葉は肉体性を伴ったものでなければいけない。だからこそ、センセーションを巻き起こすライヴ・パフォーマンスになったのだろう。
そろそろスターリンとかセンセーションを巻き起こしたステージの説明をしておかねば何のことか分からんよね。簡単に書いておこう。
スターリンは、1980年に結成された日本のパンクロックバンドである。同年シングル「電動こけし/肉」をインディーズからリリースする。その後シングル1枚を発表した後、アルバム「トラッシュ」をリリースする。「解剖室」はこのアルバムの中に収録されている。
バンド名の由来は、「世界で最も嫌われている男の名前をつけたらすぐに覚えてもらえる」からである。
ライヴでは、とにかく過激なパフォーマンスが話題を呼び、週刊誌「女性自身」で記事が掲載されるほどだった。具体的には、豚の頭や臓物を客席に投げつける、全裸になり放尿するといったものである。
ここまで書いてきて、令和には向いてないかな?と我に返ってしまった。さすがに解剖室って歌うのには、無理があるかもしれない。しかし、ミチロウがもし今も生きていて、「解剖室」をアコギで歌ったとしたら・・・と考えると、まだ有効なんじゃないかなとも思う。
ミチロウの歌を聴いていると、歌っている本人にしか出せないリアリティというものがあるということがよく分かる。唯一無二の存在であったと思うし、僕にとってはいつまでも聴いていたい歌い手である(最近はとんとご無沙汰であるが)。
元旦なんでこれくらいにしとこう。まだまだ力不足ではあるが、1か月に1本はこういう形で記事を書いていきたいと思っている。
それでは。今年もよろしくお願いいたします。