デジタル×逆転のシナリオ その2

民主主義について

 

落合「人間が多様になっていくのに対して制度を多様にする速度が遅い。そこは民主主義の拡張(ハック)可能なところだと思っていて、AIが意見をまとめたり、対話可能な集合知を作ったりするような形が入ってくるとすると、議会っていうものが19世紀末から20世紀頭に全世界的に普及していったようなものとは違った意味を持つんじゃないかなあと」

 

「制度や権利の多様性(ダイバーシティ)に応じてもっと早いスピードで『変える』ことに繋がったらいいなあと個人的には思っています」

 

 

→やはり民主主義はスピードという点でファシズムより劣っていると思われる。今までの民主主義だったら、だけど。それを解決できるのがAIだとしたら・・・僕は民主主義のスピードを上げようぜっていう考え方には賛成である。でもこういう考え方って日本の風土に合うのかな。日本の風土というか日本人の考え方って今も昔もあんまり変わってない何か、があるような気がするんだけど。それをどうクリアするつもりなんだろう。そこを落合陽一に訊いてみたい

 

 

タン「それはユニークな考えですね。確かにAIは陳情に使えるかもしれません。政府に陳情に来る方々は本当に困っているので言葉も荒くなりがちです。それを役人がこの書式に書いて下さいとか言ううちに物別れになるのがこれまででした」

 

「『陳情』こそ最も、民主主義に大切な市民の声なのに」「でもAIなら相手が好む『語調』を学習し『翻訳』できます」「(陳情の)生の声をお役所好みに『変換』してくれる」「そうやってこれまで理解しあえなかった間をつなぐことで民主主義の速度が上げられると思います」

 

 

→正直「陳情」ときたか、って思っちゃった。でもタンは少数の意見をどう生かすかっていうことをずっと考え続けてきたんだろうと思う。「陳情」か・・・やはりタンは他の政治家とは違う風景を見ていると思う

 

 

 

ナレーション:議会はもともと王や独裁者による性急な決定を防ぐ、「じっくり『熟議』する」という大きな目的がありました。しかし、それだけでは立ち行かないほど一人一人の現実が複雑に日々変わり続けている今。

 

 

落合「誰か独裁者が暴走したりとか突然戦争が起こったりとか何かやばい法律ができたりするとかを防ぐために民主主義はゆっくりの速度にするのには機能を果たしているけれど、ただ今は変えていくべき。人はどんどん多様になっていくので速度をなるべく速く、届けて受け取って届けて受け取ってをなるべく速くすることができれば、速く制度が変わる」

 

 

ナレーション:AIが膨大な声を受け止め小さな声を社会に生かしてゆく。民主主義が加速するチャンスになるかもしれません

 

 

 

 

データ戦略

 

ナレーション:健康、交通、決済。人が動くたびに日々蓄積される膨大なデータ。今、バラバラのデータをデジタル上で統合し、利便性の高い社会を作るデータ戦略を各国が推し進めています。そしてこのデータ戦略でアジアをリードするのが台湾です。世界がそれを知ったのは3年前。

 

コロナ禍当初、各国がマスク不足に悩む中、タンさん率いるチームは、いち早く、台湾中のマスクの在庫データを可視化。誰でも必ず2枚のマスクが手に入るようにし、買い占めを防ぎました。2021年、ずっと拡大を抑えてきた台湾で突如感染者が急増した時にも、データがフル活用されました。市民は施設の入り口でQRコードをスキャン。もし感染者が出たら同じ時間帯に通った人に連絡が来る方式。データの分析によって感染の封じ込めに成功しました。

 

そんな台湾の戦略に日本が学べるどんなヒントがあるか。落合は台北ビッグデータセンターに取材に行った。交通、居住、感染対策など、あらゆる分野の膨大なデータを市の全域から収集。関係機関と連携し、市民の利便性を高めているという。

 

台北の道路状況、人の密集度が一目でわかるシステムをどのように活用しているかを目の当たりにした落合。「特に昨年のソウルでの事故の後、2カ月で人の密集度が分かるシステムを構築したのはさすが台湾だと思った」。彼らはデータを集め、常にシステムのアップデートを繰り返しているそうだ。

 

落合「これは素晴らしいケースだと思います」「ソウルの事件からわずか2カ月でここまでやったのですから」「日本なら2か月後には『こういう事故は起きないようにしましょう』というだけで迅速に何かを計測してみようとか、分析用のデータを集めようということはない」「これは本当に勉強になります」「もしもこの先、未知の感染症が広がった時や災害があった時にも有効活用できると思いますし、自動運転の車が普及した時などにも対応して事故のリスクを減らすことができると思います」「めちゃくちゃ感動しました!」

 

→「こういう事故は起きないようにしましょう」。このような言葉は今の、今までの日本のいたるところで使われてきたし、今も使われ続けている。もう嫌になっちゃうよってくらいだ。使う人もその言葉に何の疑問も持たない人、「なんだかなあ・・・」と思いながらも使わざるを得ない人の2通りあるんじゃないか

 

 

ナレーション:データによって、より便利で安全な社会を築こうとする台湾。ただそこには絶対に守らなければならないあるルールが。

 

 

「最も大事なのは『データクレンジング』。『誰』のデータか分からなくするということです」

「誰がバスに乗っているのか、誰の携帯電話かを知る必要はない。データは故人の名前を分からなくしてから提供しています」「市民のプライバシーには踏み込まない。これが絶対のルールです」

 

 

タンはプライバシーの保護を最重要視しているそうだ。

 

タン「プライバシーの保護については、デジタルの方がアナログよりもずっと優れているんです」「アナログだと、免許証を1枚見せただけで、住所や年齢などあらゆる情報が明らかになってしまいます」

 

落合「コピー機でコピーされたら終わりですね」

 

タン「その通りです」「私たちは、パンデミックの際、感染者の登録や人通りの多いところに行った際の行動履歴の報告を携帯電話で行いました」「番号が誰のものか知っているのは電話会社だけで、政府は知りません」「感染を防げさえすればいいので、名前まで知る必要はないのです」「携帯電話は基本的に1人1台持つものなので相手の名前や顔を知らなくても相手が本人(の携帯電話)であることは分かる」「これは最近話題の『ゼロ知識証明』に近い考えだと思います」

 

 

ゼロ知識証明:そのパスワードを知らないと開かない扉をデジタル空間上で行き来することで、この人がパスワードを持っていることを証明。パスワードの中味を教えなくても、パスワードを知っていることが示せる。個人情報管理や取引の上でプライバシーを守る方法として注目されています

 

タン「プライバシーなんていらないから、データを活用して便利にしてくれという人もいるかもしれません」「1枚のカードしか持ちたくないならクレジットカードと保険証を一緒にしてほしい、とね」「でもディナーの支払いの時に健康情報を見られるのではと、危惧する人もいる」「全員が享受する制度はプライバシーを守りたい人に合わせなければなりません」「便利を押し付けるのではなく、みんなが不便に思うことをクリアする」「そのためだけにデータを使う」「それが、デジタル時代の社会保障のためには重要です」

 

 

ここまで書いてきたことで分かるように落合は今の日本に強い危機感を持っている。

 

 

 

今日のお勉強はここまで!こうなったら最後まで聞き書きしたいものだ。

 

 

音楽の話も書いてみたいんだけどね。でもたまにはお勉強もしなくちゃね。