hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

歳をとると見えてくるもの、あるいは好きになること

僕のおじさんは、僕が少年の時にはかなり遊んでいたと思われる。親戚での集まりでは、お酒をたくさん飲んで、ベラベラいろいろなこと(かなりの頻度で卑猥なこと)を喋っていた。他の親戚は羊のような人たちばかりだったので、おじさんはかなり浮いていた。そんなおじさんに(多分心の中で)同調していたのは、僕の父である。僕の父は普段は無口のくせにお酒が入ると多弁になった。親戚が集まる穏やかな場で2人はお酒を飲み、下品な話を繰り広げていたように思う。

 

それで思い出したが、親戚の集まりにおじさんがいない時の父は、つまらなさそうだった。あんまりつまらないので、僕を連れ出し、大雪の中ドライブに行ったこともあった。わざと轍に入り、手放し運転をして僕を怖がらせたり、お菓子を買ってくれたりと小さい僕には特別に楽しい時間だった。

 

そんなおじさんだったが、僕が成人して大分経ったときに「山はいいぞ」「花なんて若い時は見向きもしなかったのに今では綺麗な花を愛でるようになった」などと言うようになったので僕は内心たまげた。「hanamiももう少ししたら分かるようになる」とも言われた。あれから数十年経ったが、僕にはちっとも山の素晴らしさやや花の綺麗さが分からない。

 

おじさんのような人はきっとたくさんいるのだろう。昔はやんちゃしていたが、今ではすっかりいいおじさんですっていう人が。そしてそういう人を「大人」というのかもしれない。僕はそっち側の人間ではないのだろう。でも僕は僕なりに歳をとって見えてきたことや好きになったものがあるはずだ。それが一番分かりやすいのが音楽の嗜好の変化なのだろう。今までこんなたくさん記事を書いてんだから、きっとそうである。

 

というわけで、今日取り上げるアーティストはジェームス・テイラーキャロル・キングである。例によって「ベストヒットU.S.A」で彼らの映像を観て、いたく感動したからだ。小林克也はいつもの調子で語る。

 

~これは1970年にこれは始まりました。キャロル・キングが「タペストリー」という有名なアルバム、シンガーソングライターのブームを作ったと言われるアルバムですよね。これがレコードになってなかった時にジェームス・テイラーはキャロルの仲間みたいな感じだったんですけども、彼の方が早くに有名になっちゃって、ロスアンゼルスのトルバドールでライブをやることになったんだけど、キャロル・キングに出てくれない?と声を掛けたら出てくれました・・・キャロル・キングが書いた「ユーヴ・ガッタ・フレンド」、これをジェームス・テイラーが気に入ってシングルにします。そしてその曲が入ったジェームスのアルバム、キャロル・キングの「タペストリー」がどーんとヒットします。そしてシンガーソングライターのブームを作っていきます・・・時を経て2007年にまたトルバドールでライブをやんない?って話が盛り上がって実現したんです~

 

「ユーヴ・ガッタ・フレンド」の1題目はこんな歌詞だった。

 

♪君が落ち込み困った時 そして愛と癒しが必要で なにもかも上手く行かないなら

♪目を閉じて僕のことを考えて そうすれば君のすぐそばにいるから

♪暗い夜を明るくできるよ

 

♪僕の名前を呼ぶだけでいい 僕がどこにいても君ならわかる

♪君とまた会うために走っていくよ

♪冬 春 夏 秋も  君は僕を呼べばいい

♪僕はそこに行く 君には友がいる

 

2題目はキャロルが歌う。ジェームス・テイラーの頭はすっかり禿げあがり、キャロル・キングもすっかりおばあさんの風情を醸し出している。この2人が歌う姿がしみじみとしていいんだよなあ。つい数年前だったらこんな歌詞にしみじみしなかったと思う。

 

キャロルは歌の最後に「ここ『トルバドール』に私たちはいる。/またこれをやるとは思わなかったけれど/でもここは扉を開く場所になった/このための・・・/ありがとうジェームス」と歌う。かっこいいおばあさんだ。

 

 

僕は恥ずかしながらキャロル・キングは「I feel the earth move」、ジェームス・テイラーは「Fire and Rain」だけ聴いていればいいと思っていた、そんな不届きものだった。改めて「タペストリー」収録の「So Far Away」「It’s too late」を聴くとまいったね、名曲じゃないか、とやっと気づいた次第であった。

 

何だか最近いろいろな音楽を聴くようになったってことを手を変え品を変え書いているような気がするが、これが僕にとっての「山歩き」や「花を愛でる」ということになるのだろうか。音楽以外にこんな風に成熟(かな?そういうことにしておこう)したことってないような気がする。

 

 

今日で今年度が終わった。長い1年だった。さあ、ギター教室に行こうっと。