hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

スティーヴ・ジョーンズはきっといい奴だ

今日は気がついたらセックス・ピストルズを聴いていた。何故だろう?ちょっと時を巻き戻してみるか。僕は木曜日ギター教室で「ジョニー・B・グッド」を習った。少年時代、この曲は僕にとってダサさの象徴だった。既に色褪せ、古ぼけた音にしか聴こえなかった。同じように感じていたのは僕だけではなかったはずだ。それが一回りも二回りもして今ではかっこよく響いてくる。だから練習しよう。確かそう思ったはずだ。

 

そして今朝、ストーンズが「エル・モカンボ」でやった伝説(伝説の中味を書くと長くなるのでやめとく)のライヴ盤が出ることを知った。先行して発表されていた「イッツ・オンリー・ロックン・ロール」「リップ・ディス・ジョイント」を聴いて、「思い切りチャック・ベリーだな」と思った。このライヴが1977年に行われたことを知り、「そういえばセックス・ピストルズも1977年にデビューしてなかったっけ?」と思ったのだ。

 

そこからパンク・ロックについて考え始めたんだった。以前記事にパンク・ロック、特にセックス・ピストルズからは50年代のロックンロールの匂いがするけど、チャック・ベリーの匂いはしない。チャックの匂いをはずしたことがピストルズサウンドをかっこよくさせたのではないか、と書いた。

 

そんなこと書いたな、と思った僕だが、「ほんとに?チャック・ベリー色はない?」とも今朝思ったんだった。それでアップルミュージックでピストルズを検索してみたら「76-77」というアルバムがひっかかった。去年発表されていた作品だ。例によってリハーサルテイクっぽい。なかなか興味深く聴くことができたが、音が薄っぺらいのにだんだんイライラしてきてデビューアルバム「勝手にしやがれ」を聴き始めた、というわけだ。

 

確かにチャック・ベリーっぽい例のリフ(邪魔くさいので以下「チャック・リフ」と書こう)は今のところない。でも聴いていったらあるじゃないか、3曲目「ノー・フィーリング」に。ちゃんと僕でも分かるように弾いているぞ。ということは今までピストルズをギター中心に聴いてこなかったということか。調べてみるか。

 

まずチャックのインタビューを見つけた。彼がピストルズについて「ギターとその進行は俺のに似ているな」とコメントしている。そうか。チャック・ベリー本人が言うんなら間違いないか。ウィキにはピストルズのことを「チャック・ベリーのクレイジーなヴァージョン」と書いてある。そうか。知らないのは俺だけだったんだ。まいったな。ユーチューブを観てみよう。「ノー・フィーリング」では確かに小指を使ってチャック・リフを弾いてるぞ。それにしてもユーチューブでいろいろな人がピストルズをカヴァーしているのを観ていると自分も弾きたくなってくる。

 

さらにスティーヴ・ジョーンズのインタビューを見つけた。残念ながら英語のみだったんで、よく分からなかったが、ピストルズの曲に対してコメントして、実際に少し弾いて見せる、という番組だった。その中で「セブンティーン」のコメントにバディ・ホリーの名前が出てきた。これは「なるほど」である。意外だったのは「プロブレム」のコメントでディープ・パープルの名前が出てきたことである。しかも「ハイウェイ・スター」だって。そうか、パープルの影響もあったんだ。話は飛ぶが、昔吉井和哉が「ピストルズの曲はギターがかっこいいし簡単に弾けるけど、あのニュアンスを出すのって実は難しいんだよね」と言っていた。確かに他の人が弾くピストルズよりスティーヴ・ジョーンズが弾く方が断然かっこいい。その秘密は何なんだろう。うーん、取り敢えず宿題にしておくか。インタビューに答える彼は昔やんちゃしてましたが、今はこんなおっちゃんです、という風情を醸し出していた。きっと根はいい奴なんだろうな。スティーヴ・ジョーンズのインタビューからはチャック・ベリーの言葉は出なかった。

 

それにしても1977年エル・モカンボで演奏したストーンズと同年デビューしたピストルズに同じ匂いがある(こじつけかな?)とは感慨深い。「リップ・ディス・ジョイント」なんか曲の速さはピストルズとそんなに変わらないぞ。でもストーンズはパンクスから毛嫌いされていたんだよな。音楽的には根っこに同じ部分があるというのに。ミックの金持ちっぽいところが鼻についたから嫌われていたのであろうか。とにかくストーンズはパンクとはハッキリ区別されていた。

 

思えば1977年、僕が14歳の時の聴こえ方はストーンズの方はチャック・ベリーと同じくダサく聴こえ、一方ピストルズはかっこよく聴こえた、ように思う。いや、もとい。どちらもリアルタイムで聴いていなかったんだ。えーっと、どうだったっけ?ストーンズは馴染むのに時間がかかった。ピストルズは確か高3で初めてまともに聴いたけど即効性が高かったような気がする。だからそうだなあ、1980年当時だとやはり僕はピストルズにズキュンときたのだと思う。しかし今はどちらもかっこいい音楽として聴いている。不思議なものである。