hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

キャッチ&スローをしてみた

新聞紙を1枚クシャクシャに丸める。それをガムテープ2枚でボール状にする。これを30個作れば「キャッチ&スロー」の準備完了だ。この準備を1人でやっていたら突然校長が教室に入ってきた。「いや、ガムテープをちぎる音が聞こえてね」「この時代になんてアナログなんだろうと思いながらやってます」「ほんとに、今の時代儂ら大変やねー」等々の会話をして去っていった。ほんとに世の中はオンライン授業だなんだと言っているのに対し、僕は一人教室で新聞紙とガムテープだ。いいんだ別に、アナログで。これで授業が盛り上がればいいし、と少し拗ねてしまった僕であった。

 

というわけで、自分が社会科を担当しているクラスの最後の授業で「キャッチ&スロー」という構成的エンカウンターの活動をした。構成的エンカウンターとは「親密な人間関係づくりを後押しする手段」のことである。集団学習体験を通じ、人間的自己成長と自己発見による行動の変化を目的としている。「キャッチ&スロー」の授業は10年ほど前に見たことがあって、それ以来担任時代には折を見て取り入れていた。今やっても児童はついてくるのだろうか。

 

まあ、それは横に置いておいて、「キャッチ&スロー」とは具体的にどんな活動かというと、ボールを取ってボールを投げる活動である。タイトルそのまんまの単純な活動である。1チーム5人で円形に座り、星形になるようにボールを投げる。1番の人は2番の人に投げ、2番の人は・・・・という風に投げる。5番の人は1番の人に投げる。レベル1はボール1個だけを使い、どういうルートで投げるかを確かめる。これは高学年ともなればササっと終わる。

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レベル2は1番と2番と4番にボールを渡す。これを同時に投げる。1番は2番に投げればよい。4番は5番に投げればよい。ところが、2番は3番にボールを投げると同時に1番から来たボールを受け取らなければいけない。ここが難しい。つまりはそういうこと(投げると同時に取る)なんだと理解してもらうための第1歩である。これを1人ずつ一応体験してもらってからレベル3に入る。

 

レベル3になると当然ボールは5個使う。それぞれがボールを持って相手に渡すと同時に、自分に来たボールを受け取らなければいけない。これがなかなか難しい。全員が一斉にボールをキャッチするためには、メンバー同士のコミュニケ―ションが必須である。活動の手順を説明した後、「これからチームで1つのことをやり遂げなければいけない時が来ると思います。そんな時、どうやったら上手くいくのか。その練習をします。どんな声掛けをすればいいのか、どんなことをすればいいのかを考えながら活動してください」「今日の目標は全員でキャッチ1回です」と言い、練習の様子を見ていた。

 

案の定みんなポロポロとガムテープで巻いたボールを落としまくる。最初にこの授業をしたのは4年生だったので、少しアドバイスもした(「相手との距離を考えるといいかもしれない」とか「どんな高さでボールを投げればいいと思う?」とか)。少し他のグループの様子も見せた方がいいかな、と思い、グループごとに発表させた。そしたらみんなが見ているという緊張感もあって成功するグループが出てきた。何となく要領も掴むことができたようなので再び一斉にチャレンジさせた。結果的には1組は全グループが目標を達成することができた。活動の最後にグループ内で振り返りをさせて1時間を終えた。もうひと頑張りできるかな?と思ったのでもう1時間することにした。前時とメンバーが変わってしまったので上手くいかず苦労したグループもあったが、みんな頑張って活動に取り組んでいた。

 

4年児童の振り返り

 

・はげましとかナイスとほめたりするのは大切だし、作戦とかも次にこうやってとかできたのでよかったです。言葉がどんなにはげましにつながるかがよく分かりました。

・これのコツはどのくらい相手が取りやすいかだったり、どこをねらえば取りやすいかを考えたりしてやれば上手く多く続けられると思いました。あとちゃんと声を出してやっても上手くいくと思いました。

・「キャッチ&スロー」は自分のこと(キャッチだけに集中とか、投げるのに集中とか)だけじゃなくて、相手のことも考えたら上手くいきました。

・最初かんたんだと思っていたけど、意外にむずかしくて、教えてもらったり教えてあげたり協力がすごくもとめられる授業でした。

 

 

この調子で5,6年にもやってみた。5年生は最高22回連続でできたグループがあった。

 

6年児童の振り返り

 

・自分はキャッチや投げるのが苦手で友達に何か言われるかと思ったけど、みんなは「上手!」「今の投げ方で上手!」と言われたので嬉しかったです。そしてこの短時間で交流も出来て上手くなったのでよかったです。

・チームで何回もできる達成感が感じられた。相手のことを考えて投げるのと、投げられたボールをキャッチする動きを両方やるのは難しかった。

・短い間だったけど、ふだん話さない人ともコミュニケーションがとれて、ほんの少し仲良くできました。またこんな機会があったら今度は別の人ともコミュニケーションをとりたいです。投げる時に「せーの」とかけ声をかけれてよかった。

・かけ声と協力することは大事だと思った。1人がミスって、その人を責めるんじゃなくてどうやったらミスらないかを考えてできた。

・ちょっとした改善をするだけで、成功につながったのでよかったです。自分もはげます言葉などが自然に出てきました。キャッチ&スローをして協力することが大事なんだなぁ~と思いました。

 

 

10数年前の実践でも少しはめあてに迫ることができたかな、と思った。