hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

冬眠日記その10 ~ディランを聴いた!の巻~

今頃かよ、と思われるかもしれないが我が家もようやくケーブルテレビに加入することになった。ついでにルーターも新しいものに変えてもらって家のWi-Fi環境も安定した。これでやっと人並みになった。

 

ケーブルテレビを見ると、なるほどYouTubeを観ることができる。みんなが気軽にYouTubeを観るというのはこういうことだったんだ。というわけでYouTube漬けの日々を送ってみた。まあとにかく古いものから新しいものまで番組があり、きりがないとはこういうことなのかと思った(ケーブルテレビの番組数の多さにもびっくりしたが)。

 

また僕はYouTubeというと動画を観るものだとばかり思っていたが、ラジオ番組の収録をそのまま音声だけ流しているものもあった。2人の(マニアックな内容の)対談をそのままほとんど編集なしで流している番組もあったし、1人で喋り続けている番組もあった。それはそれで楽しい。だがそれにしてもまあ、みんなお喋りだ。世の中の人はみんなこんなお喋りなのだったっけ?というくらいよく喋る。少しでも間ができようものなら、間髪入れずに話を始める。これじゃあ聴く方が疲れる。それに喋るからといって情報量が満載というわけでもない。また「うーん・・・。そうだね・・・」などとマッタリ喋っている番組はない、と断言してもいいくらいだ。細野晴臣岡村靖幸の対談でさえも2人はよく喋っていた。2人に対しては「寡黙」という印象を勝手に抱いていたのだがそうではなかった。こういう対談ものを観ていると(聞いていると)雑誌のインタビュー記事の前の編集なしのものを見せられている気持ちになる。番組に出演している人たちは、誰かに編集されるくらいならこういう形で話し合う番組を作っちゃう方がいいと判断しているのかもしれない。

 

それにしてもこれは疲れる。それにまともにYouTube番組を観ていたら、あっという間に時間が経ってしまうし、そんな時間はない。もっと歳をとったらゆっくり観よう。これからはただザッピングして観るのではなく、必要な時に必要な分だけ観ることにしよう。YouTube漬けになっている子どももたくさんいると思うが、子どもにとっては危険な代物であることは間違いないな。

 

 

 

よしっ、ディランについて書こう。目下のところの最新作である「Rough and Rowdy Ways」を聴いてみた。一言で言うと「ディランはここまで来たんだ」である。もう一言付け加えるなら「ここがディランにとっての終着点なんだ」である。つまりこれがロック・ミュージックの一つの終着点でもあると言える。もう「ライク・ア・ローリング・ストーン」とは歌わないのだ、多分。歌わないけれど、最後に(最後じゃないかもしれないけれど)こういう作品を発表することができてディランも本望だろう。

 

思えばボウイは「ブラックスター」が終着点だった。これも素晴らしい。ストーンズは「ブルー・アンド・ロンサム」が終着点だと思う(また新作が発表されるかもしれないが。チャーリー亡き今、それは今までとは性格が異なる作品なのではないかと思う)。これも素晴らしい。みんな天才なのだから、本気を出すと素晴らしい作品になるのは当然である。となるとポール・マッカートニーはどうなるのだろう。コロナ禍で発表された「マッカートニーⅢ」もよかったけれど、そろそろ本気のアルバムを考えているはずだ。

 

「Rough and Rowdy Ways」に話を戻そう。この作品は2020年に発表されたディラン39作目のスタジオ・アルバムである。フランク・シナトラのレパートリーを中心に、いわゆる「グレイト・アメリカン・ソングブック」と呼ばれるスタンダードな名曲群のカヴァーからなる3連作を挟んで、2012年の「テンペスト」以来8年ぶりとなる全曲オリジナルで占められた作品だ。この時ディランは79歳。今はもう80歳か。音楽ではディラン、映画ではクリント・イーストウッドが現在も最前線にいることにアメリカの奥深さを感じる。これは古き良きアメリカの音楽を基にした今の音楽だ。ヒップホップの曲の次にディランの曲が来てもOKだ。逆に嬉しい。しかもちゃんと世間が評価しているところも素晴らしい。

 

2000年に入ってからのオリジナルアルバムは以下の通りである。

 

2001:ラヴ・アンド・セフト

2006:モダン・タイムス

2012:テンペスト

2020:ラフ&ロウディ・ウェイズ

 

1962年にデビューアルバムを発表してから58年、走り続けたディランは最後も走っている。よろよろだったら「Murder Most Foul」なんて17分の曲を作らないよ。

 

2000年代のディランに感動出来た自分にも嬉しかった。これが去年だったら素通りしていたかもしれない。

 

 

この勢いで「テンペスト」にも手を伸ばしてみた。一聴してこの作品も素晴らしいと思った。「ネヴァーエンディング・ツアー」は今もやっているのかは知らないが、2000年代の作品だけでセットリストを作ることができそうだ。それって凄いことだな。過去の名曲は山ほどあるのにそれを演奏しない、いやすることが逆に違和感を抱いてしまうなんて、そんな人は今まで誰もいなかった。これは「ラヴ・アンド・セフト」も聴き直さなければいけないかな。

 

それにしてもこの声である。ディランは最後にこの声を選んだんだな。それなら僕も納得だ。何も言うことはない。

 

あともうひとつ、ブルースについて書いとこう。こんなに真正面からブルースに取り組んだのって初めてなんじゃないかな。こういうのも録音して残しておきたかったのだろう。

 

ああだめだ。もういっこあった。それはテンポである。「ラフ&ロウディ・ウェイズ」は全編ゆったりとしたテンポなのだが、どの曲もこれがベストだというテンポで演奏しているように聴こえる。これも相当試行錯誤したのであろうと思われる。いや、案外スパッと決まったかもしれないな。とにかくこのテンポが気持ちよさを生み出している。

 

 

 

妻は珍しく朝5時前に起きてきた。そして僕と向かい合ったところでぐうぐう眠っている。羨ましいよ、全く。僕はその横でパタパタキーボードを叩いている。平和に1週間が始まりそうだ。

 

 

 

 

しかし朝2時に目覚めたのがたたって、1時間お休みを取ってしまった僕であった。