hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

「発明」な感じ

「ロックン・ロール」は、«発明»だった。発明と聞けば何か0から全く新しいものを生み出す、なんてことを連想するが、そうでもないかもしれない。「ロックン・ロール」は今までにあったリズム&ブルースやブルース、ゴスペルなどの黒人音楽を基に、カントリー・ミュージック等の白人音楽のスタイルを融合あるいは発展させて生まれた音楽である。もしかしたら«発明»とは、今までに存在したものを基にして新たに創ることなのかもしれない。そして「ロックン・ロール」ミュージック内では過去の音楽スタイルを基にして発明が時々起こって現在に至っている。どんな発明があったのだろうか。

 

例えばレッド・ツェッペリンはどうだろう。大雑把に言うと、今までのブルースや在籍していたヤードバーズが嫌でしょうがなかったジミー・ペイジがギター等の楽器をさらに大音量で、しかも歪ませて演奏しようじゃないか、と思ったのが発端だったのではないだろうか。ちょっと乱暴すぎるけどこの気持ちからあのサウンドが生まれたんじゃないかな。そしてそれは器材の発達も関係しているのだろう。

 

ビートルズはどうだろう。ビートルズはこれまた大げさに言えば各アルバムが発明の連続であったと言えそうだ。特に後期の作品は録音器材の発達が大いに関係しているであろう。初期の楽曲の革新性について書かれた本もたくさん出ているが、不勉強のため上手く書けない。自作自演という点も発明なのかもしれない。とにかくビートルズは巨大すぎる発明だった。

 

ヒップホップをロック・ミュージックに位置づけるのは無理があるという人もいるかもしれないが、これは「ロック」だろう。自分で演奏しないで他からパクっちゃって新しい音楽にして、それにのせて早口で歌っちゃうんだから。過去に前例がないという意味では、もしかしたら「ロックン・ロール」以来の大きな発明かもしれない。

 

日本では、まず思い浮かぶのは言葉の発明だ。

 

頭脳警察」というグループ名を考え出したのは、パンタだ。しかしながらこれには元ネタがある。フランク・ザッパの「フー・アー・ザ・ブレイン・ポリス?」からいただいたものだ。しかしこの直訳な感じと、それを漢字4文字にしたことに発明な感じを抱く。2人組なのも当時は新しかった。しかしこれにも元ネタがあって2人組といえばティラノサウルス・レックスが思い浮かぶ。パンタも彼らを意識していたと発言している。

 

忌野清志郎の歌詞は、今まで「日本語はロックにのらない」という通説に真っ向から挑戦したものである。そしてあのような(「雨上がりの夜空に」に代表されるような)歌詞を発明した。これまたどうやったらビートにのる歌詞が書けたのかについての本も山のようにあるだろう。固有名詞を使ったのも発明の一種かもしれない。またソロアルバム「レザー・シャープ」での「WATTTA」ではタイトルの「渡った」のように促音を意識して取り入れることでさらなる地平を開いた。

 

ザ・ブームの音楽の中には沖縄民謡とガムラン音楽を1曲の中に入れちゃった曲がある(「いいあんべぇ」とか)。これは思いついてもなかなかできないことだ。いや、普通は思いつかないか。でもミクスチャーロックなんてのもあったな。ちょっと安易すぎやしないかという面と力技でやりました、という面を感じる。

 

こう書いていると発明な感じがするものは、さっきも書いたように前にあったものを継承あるいは発展させているものがほとんどだ。しかしビートルズとヒップホップはちょっと違うような気がする。ビートルズは特に後期の録音技術が発達した時期にいろいろなことを0から試して新しいものを創っている、ような気がする。しかもそれがことごとく名曲になっている。

 

 

 

何でこんなことを羅列しているかというと、今日はキース・リチャーズの5弦ギターについて書きたかったからである。これも発明だろう。

 

ストーンズの活動が煮詰まった頃、キースは改めて戦前のブルースの研究に没頭する。そして当時のブルースマンのギター演奏の特徴であったオープン・チューニングを自身のギターに取り入れていく。その後、グラム・パーソンズライ・クーダーの影響を受け、オープンGチューニングを取り入れる。やがてキースはコードを指1本で押さえる際に6弦が邪魔だ、という理由で6弦を外す。5弦ギターの誕生である。そして「ホンキ―・トンク・ウィメン」「ブラウン・シュガー」「スタート・ミー・アップ」などの名曲を生み出す。

 

煙草を吸いながら弾けるとか、6弦のビビりが気に障るから外したとかいろいろ言われているが、ギタリストが弦を外すなんて発想は、多分誰もしなかったであろう。キースが初めてだったのではないだろうか。(←誰かしてたらごめんなさい)これもブルースから出発した結果辿り着いた発明ではあるがそれにしてもキースらしいといえばキースらしい。

 

 

 

他にもいろいろ発明はありそうだ。プログレとかグラム・ロックとか。でもプログレサウンドで言えば「ロックにブルースやジャズやクラシックを掛け合わせるとどうなるか」みたいな実験だったような気がするし(これも発明と言えば発明か)、グラム・ロックは「化粧をしたロックン・ロール」(←誰かが言ってたよね)のような気がする。

 

 

歌詞で「これは新しい!」っていうのはあるのかなあ。歌詞の内容はジャンルでいうと「色恋モノ」「自分のこと」「政治モノ」がほとんどなのかもしれない。

 

あ、でもザ・スターリンの「虫」は、形態としては発明だったな。俳句のような短い詩をロック・ミュージックに取り入れたという点で素晴らしい。「天プラ」なんかは「天プラ からっぽ お前だ」だけだったもんな。これで1曲成立させてたんだからすごい。しかもパンクの名曲だ。

 

 

 

 

最近世の中の音楽ブログでローリング・ストーンズネタが書かれることが多くなったような気がする。僕もその一人だがやっぱり書きたくなるよなあ。