hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

またか、と思われるかもしれませんが・・・

今日の給食のメニューは白ごはん、めった汁、ブロッコリーのサラダ、とうふハンバーグ、チーズであった。5年生はざわついていた。そして廊下で僕を見かけると、ニヤニヤ笑っていた。

 

どういうことかというと、こういうことだ。僕は小学2年生の時にある食べ物がどうしても嫌いで・・・という話を5年生にしていたからだ。そして今日はそれが出る日だった。

 

またお前の思い出話か、と思われる方もいるでしょう。しかしここはひとつ勘弁していただきたい。

 

嫌いな食べ物は何かと言うと、「チーズ」である。そのチーズにまつわる話をこの前の参観日の話と同じように5年生にしていたのであった。

 

 

「みんなきっと、お残りっていうことを経験したことがあると思うけど、最長何時まで残ってたことある?」と聞くと、「4時」「5時」などと言う声が聞こえたので、「先生は6時までお残りさせられていたことがあります」。「えー!」「なんで~」とまた口々に言い始めた。

 

そこで僕は「それは先生が2年生の時でした」と語り始めた。(←社会の時間なのに、何してんだろ、俺は)

 

僕の家ではチーズというものが食卓に出なかった。だから給食で出たチーズ(当時は棒チーズだった)を見て「何だこれは」と思った。好き嫌いの激しかった僕のセンサーが光った。「これは危ない」と警戒警報が鳴っている。だから1年生の時は手をつけなかった。

 

2年生の先生は厳しかった。僕が棒チーズに手をつけないのを見ても許してはくれない。普通なら12時50分の「ごちそうさまでした」の後くらいで「片付けてきなさい」と言うはずである。しかしそんなお声はかからない。昼休みになった。そうじになった。まだ、先生は教卓にいる。みんなは掃除をしている。その中で僕はただ棒チーズを眺めているだけだった。みんなと同じことができなくて惨めだった。いつもはふざけている掃除なのに。

 

そして5限目が始まった。僕にはまだ「チーズを食べなさい」命令が解除されていない。そのままみんなが勉強している時も僕の机の上には給食のお盆、食器があった。さらに惨めな気持ちになった。今思うとよくグレなかったものだ。

 

帰りの会が終わり、みんな帰っていった。5限で帰っていたから「さようなら」をしたのは3時少し前くらいだろう。僕と先生の1対1対決が始まった。先生はずっと無視をしている。僕はずっと棒チーズを眺めている。やがて先生は懐柔策を取ることに決めたようだ。4時になろうとしていた(多分)。

 

優しい表情を作りながら「hanami君、もうすぐ運動会だよね。チーズ食べると力が出て1等になるんだよ」。勿論僕は、そんな大人の勝手な理屈には乗らない。ずっと無視していると先生が棒チーズのパッケージをむしり出した。そして少しちぎり、「これだけ、食べたら帰っていいよ」と言った。僕は拒否し続けた。お互い譲れないところまで来たようだ。膠着状態が続く。

 

先に音を上げたのは先生だった。さっきの欠片をもっと小さくして「これだけ食べよ?」と言ってきた。僕はといえば先生と同じくらい、いやそれ以上に音を上げていたので、その欠片の4分の1くらいを仕方なく食べた。結局それで先生は諦めて帰ることを許された。家に着いたら6時だった。

 

っていう話もして「でもね、不思議なもんでいつかは食べられるようになるんだよ」と今度はこっちが大人の立場になって喋ってしまう。でも子どもは容易には信じない。学級担任時代は月初めに献立表を配るとまずチーズがいつあるかチェックする子どもがいっぱいいて、わざわざ僕に報告に来る。「あ~、そうなん?」「だから何?先生大丈夫だよ」等適当に返事をしておいたが、当日はもう大変な騒ぎである。子ども達は「いただきます」の後から異常な集中力で僕の一挙手一投足を見守っている。

 

実は今も固形チーズは食べない僕は、この時ばかりは諦めて牛乳と一緒にチーズをかき込むのだった。「おお~」とどよめくクラス。それで盛り上がることができるクラスはいい状態といえる、はずだ、と思いながら僕は食べ続けた。