hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

オオカワ先生について 

サカグチ先生と一緒に働いている時に関わることができたのが算数の大家であるオオカワ先生(仮)と特別支援教育の世界で影響力を持つヒガシ(仮)先生である。そしてマチダ先生(仮)という超カリスマ教師に授業を見てもらった。サカグチ先生には「これを人脈っていうのよ。あなたは人脈を作ったのよ」と言われた。

 

今日はオオカワ先生について書いてみよう。

 

事の成り行きは、研究主任になったはいいが、学校研究をどのようにして進めたらいいのか分からない僕を見かねてのことだったんだろう。研究会を開いていたが意見が出ずに硬直した雰囲気になった。そんな時、サカグチ先生が「私の知っている先生でよかったら、学校に来てもらって教えてもらわない?」とみんなに提案した。その先生がオオカワ先生だった。

 

本当は他の職員は外から指導主事でもない在野の先生が来てあれこれ言われるのが好きじゃなかったみたいだ(今思うと。先生ってプライド高いしね)。でも学校内でいい案も出なかったので、オオカワ先生を招聘することになった。

 

そこからの僕は大忙しになった。夏休みに入ったらすぐにサカグチ先生と一緒にオオカワ先生に会いに行き、研究主任としてこうしたいという思いや困っていることを話す、その上で夏休み中にオオカワ先生を招いて1回研修を開く、2学期の最初に(9月だよ!)僕の授業をオオカワ先生に見てもらう、そのための指導案を夏休み中に仕上げる、など学校研究関係の仕事が山のように入ってきた。勿論通常のプール当番なんかの仕事や補習もある。

 

初めてオオカワ先生に会った時、僕は学校研究のことを上手く話すことができなかった。しかし前もってサカグチ先生から聞いていたのだろう、あたふたしている僕を優しく受け止め、自分の考えを話し始めた。そして「僕が今までしてきたことを話すから、それを聞いてhanamiさんがいいなと思ったところをとればいい」と仰ってくれた。何時間喋っていただろう。目から何枚も鱗が落ちるほどの充実した時間だった。

 

そして夏休み中盤に「子ども主体の授業づくり」をテーマにオオカワ先生との研修が行われた。研修後、先生が用意してくれた僕のレジュメは赤でいっぱいになった。それほど衝撃を受けた研修だった。よく先生達は教材研究をしなけりゃとは口で言うけれど、じゃあ何をどうすることが教材研究なのかがいかに分かっていなかったのかがよく分かった。

 

まずオオカワ先生は教材分析と教材研究を分けて考えるべきだと話した。教材分析とはその教材の学習内容を具体的に教師がつかみ、突き詰めた結果、子ども達にどんな算数的価値をもたらすかということをはっきりさせることであり、教材研究は、その教材を子ども達にどう向き合わせるかを考えることだと話していた。だから教材分析を十分したうえでないと、どこで子どもがどのようにつまずくのかも見えないし、つまずいた時の手立てをどうするのかを考えられないと話していた。

 

このように1から授業をどう組み立てていくのか丁寧に話してくれて、そこから具体的な事例を次から次へと(レジュメに書いていないことも)話してくれるので、赤だらけになったというわけだ。具体的な部分の一例は初期のブログに書いたと思う。

 

2学期になり、僕が行う研究授業の日が来た。その日は午前中から来校してもらって授業を見てもらいたい先生はオオカワ先生に見てもらっていた(←半ば強制的だったな)。僕の研究授業はいつものごとく自分の気持ちと子どもの気持ちが上手くかみ合わないものになってしまった。

 

そして授業整理会が始まった。普通の整理会は職員が感想を言い合ってその後、招聘した先生にコメントしてもらって適当にちゃんちゃん、で終わるのだが。今回は違った。周りが喋らなくなるとオオカワ先生は歯に衣着せぬ物言いをして、みんなに問いかけていく。この教材は何が胆なのかを厳しく僕達に問いかける。分からないと言うと、分かるまで教えてくれる。そして自分だったらこうする、という話をする。

 

こんな感じで授業整理会は終わったのだけど、もしこの会でオオカワ先生の考えに感銘を受けた人はその場に残るはずである。そしてもっと話を聞きたいと思ったりこんなことで困っているんですけどどうすればいいでしょう?と質問したくなったりするはずだ。

 

結果1人の先生が残った。僕達はまた語り合った。とにかくオオカワ先生もサカグチ先生も、そして僕も残った先生も熱いのだ。熱い思いが語り合うという行為に表れていたのだ。共通項は「いい授業がしたい」だ。

 

その語り合いも終わり、さあ帰るか、と思ったら今度は研究主任としての話があるので呼ばれてレクチャーされた。勿論熱い思いを持って聞いたよ。以後この日の流れはオオカワ先生が来校した時の流れとなる。そして帰り際に僕に次のように言ってくれた。

 

「今日の授業で児童に寄り添っていたのは貴方だけだったよ」と。勿論僕を励ますためのお世辞なのだろうが、嬉しかった。

 

 

                                                                                                                         (続く)