こんな声で歌う人はいない第1号

ニール・ヤング(75歳)のファースト・ソロ・アルバム(1969)は、アメリカのロック辞典では「アダルト・メランコリーとチャイルドライク・ワンダーとパラノイアブレンド」と評されているらしい。

 

いきなり本文から離れて申し訳ないが、アーティストを紹介する時に年齢も書いているが最近は70代ばかりだ。これは一体どういうことだろう。自分が若い時に聴いていた人を今も聴き続けている、そしてその人は相変わらず精力的に活動している、ということなのだろう。

 

話を戻そう。ウイキペディアで、彼の「ジャンル」を見たら、ロック、フォーク、カントリー、パンク、フォークロック、グランジニューウェイブと書いてあったので笑ってしまった。すごいな、ニール・ヤング。振れ幅大きすぎるぞ。この振れ幅がつまり「アダルト・メランコリーとチャイルドライク・ワンダーとパラノイアブレンド」なのかな。

 

松村雄策は、1982年の著書「岩石生活入門」で初心者には「ライブ・ラスト」(1979.11)を勧めると書いていたが、偏屈な僕はその1枚前の「ラスト・ネヴァー・スリープス」(1979,7)を買ってしまった。大分後になって「ライブ・ラスト」を聴いて「しまった、松村雄策の言うことを聞いておけばよかった」と思ったものだ。

 

「ライブ・ラスト」にはロック、フォーク部門の名曲がずらりと並んでいた。当時その2つを行ったり来たりしている人はいなかったんじゃないかな。しかし、何故ニール・ヤングはアコギセットとエレキセットを必要としていたんだろう。ジミー・ペイジがアコギを持つのとはわけが違うような気がする。もしかしたら歌詞にその秘密が隠されているのかもしれない。とにもかくにもどちらもやらないと気が済まなかった、自分のやりたい表現を出し切れない、と思ったのだろう。

 

それにしてもまあ、たくさんの作品を発表している。数えたくないくらいだ。そして今現在もその創作意欲は衰えていないようだ。僕は1989年発表の「フリーダム」からリアルタイムで聴くようになったが、毎年毎年アルバムを出すものだから、1996年の「デッドマン」のサウンドトラック盤で音を上げてしまった。過去の名盤も聴かなければいけなかったし、もうお腹いっぱいだった。

 

その後、2006年からアーカイブシリーズが始まり、僕は再びニール・ヤングを聴くようになった。昔のライブを聴いてやはりニール・ヤングは無視できないと思った。特にアコースティックヴァージョン(アコギで歌うかピアノで歌う)の方が鋭いように感じた。

 

おっと大事なことを忘れていた。声である。僕がいつもチェックするところだ。「鶏が首を絞められた時の声」第1号がニール・ヤングだと僕は思っている。特に初期の「アフター・ザ・ゴールドラッシュ」などでは鶏度数が上がっている。またしても何故この声なのか?という謎が頭をよぎる。アコギとエレキ、そしてこの声は密接に関係しているように思う。繰り返し言うがこの組み合わせじゃないときっと駄目だったのだ。ニール・ヤングは。

 

ああ、まだ書かなければ。ニール・ヤングはギターがとても上手い。アコギではストロークよりもアルペジオというかスリーフィンガー奏法が絶品である。遠藤賢司などは耳をそばだててどうやって弾いているのかを聴いていたのではないだろうか。対してエレキヴァージョンの方はじじいになるにつれノイズ度が高くなっている。これもそうせずには表現できないものを抱え込んでいるからだろう。

 

あと是非書き記しておきたいことが「デッドマン」という作品だ。これはジム・ジャームッシュ監督、ジョニー・デップ主演の映画「デッドマン」のサントラなのだが、この「ギターソロNo.5」がとてもいい。映画もとてもいい。今は入手困難じゃないかな。それで、映画も音楽も素晴らしいんだけど、ある時ブルー・ハーブのライブをユーチューブで観ていたら、このデッドマンの「ギターソロNo.5」音楽をバックに「雨にも負けず」という楽曲をラップしていた。これには衝撃を受けたよ。亡霊が蘇った感じがした。「これを使ったか!やられた!」の一言である。

 

あー、まだ言いたいことがある(←しつこい)。彼はアルバムの中で、同じ曲をアコースティックヴァージョンとエレクトリックヴァージョンで収録している曲がある。どっちもカッコいいんだ、これが。こんなことしているのはニール・ヤングだけじゃないかな。

 

久しぶりに「ニール・ヤングの3曲」をやってみるか。いや、3曲じゃ済まないような気がするので思いつくままに書いてみよう。

 

ポカホンタス

・アフター・ザ・ゴールドラッシュ

・サッチ・ア・ウーマン

・ヘイ・ヘイ・マイ・マイ&マイ・マイ・ヘイ・ヘイ(曲は同じでアコースティック&エレクトリックヴァージョンがある)

・ヘルプレス

・ロッキン・イン・ザ・フリー・ワールド(アコースティック&エレクトリックヴァージョン)

・ハート・オブ・ゴールド

・ハーヴェスト・ムーン

・ライク・ア・ハリケーン

・シュガー・マウンテン

 

10曲も選んだというのにまだ足りない。

 

僕の課題の歌詞世界についての言及はいつかまた、ということで。

 

今回は、とりとめもなく書いてしまった。

 

ある時はアコギで、またある時はノイジーエレキギターで自分が表現したい世界を作り、誰にも出せない声で今も歌い続ける人、それがニール・ヤングだ。