11月13日金曜日の漫勉neoは待ちに待った諸星大二郎の回だった。
いつも早く目覚めてもテレビは観なかった僕だがこれは観ないわけにはいかない。ぼうっとしながらも観ることにした。
結論。タイトル通りである。つまりあまり自分のことを話さなかったということだ。前回の星野之宣の時もそうだったが、あの話をころがす名人の浦沢直樹が困っている。それはそれで面白かったが、もうちょっと創作の秘密やら書く時に心がけていることやらを喋ってくれよ、お二人さん、と思っちゃった。
でも、結局二人ともこう言いたいのだろう。「とにかく漫画を読んでみて。それで気に入ったら嬉しいです」。これに尽きるような気がする。
言葉以外の手段を使って表現する人達で優れた仕事をしている人、特に男性はそんなに饒舌ではない、というのが僕の勝手な説だ。女性は違うような気がする。もっと饒舌に、また客観的に自分のことを語ることができるような気がする。
その事を確認できただけでも良かった。だっていろいろ喋る諸星大二郎だったらそれはそれでがっかりしそうだ。浦沢直樹には悪いけど。僕は改めて諸星大二郎が好きになった。
漫勉neoは3回放送されて、2回再放送された後、諸星大二郎の回が放送されたけれど、編集が大変だったのだろう。だってこれ、8月に収録されたって言ってたぞ。
いやあ、こっちももう書く事がなくなっちゃった。もう1回観ようかな。
これを書いている時のBGMは花田裕之「NOTHIN’ ON」(2001)。渋いギターと決して上手くないが素直な歌声。アップルミュージックは僕のことをよく知っている。
これで記事をアップしようと思ったのだが、もやもやして堪らないので、「文藝別冊 総特集 諸星大二郎」を購入してしまった。
有名な人にサポートしてもらおう。ちょこっと引用させてもらうか。
細野晴臣「«日常に潜む何か»を描かせたら諸星さんは世界一だと思う」
山岸凉子「私は氏の作品を読むたびに体験したかのような、いやかつて太古の昔に経験していたかのような不思議な感覚におそわれるのです」「それは氏が描く作品が«人間の潜在意識に共通するイメージ»を喚起させるからなのです。以前は、それに魅せられながらも畏れも感じました」
こうなったら本人の2万字インタビューからも拝借だ。
「人物も背景も全部自分で描きたい」「シナリオ形式のネームを切り貼りして構成」←これは番組でも言っていた 「絵に自信がないから描き込んでしまう」←これも言ってたかも 「アイデアやストーリーは自分の絵を前提に考えている」
もう一つ、星野之宣との対談では結構細かいところまで喋っているじゃないか。これを聞きたかったんだよってことばかり話しているぞ。
これ以上ズルしちゃいけないよな。
最後に僕の好きなキャラクターは誰か?好きな作品は何か?
こ~れは難しいぞ。思いつくままに書くとしよう。
「碁娘伝」(1985)の高玉英。
「諸怪志異」(1987)の燕見鬼。
「マッドメン」(1975)のコドワ。
そして何と言っても
それと「私家版鳥類図鑑」の「閉じた世界観」が好きだ。
僕は、諸星作品の「閉じた空間」が好きだけど、時々その世界に胸が悪くなる時がある。だから、好きなキャラクターは結構開かれていて、痛快な動きをする人物になるのかもしれない。妖怪ハンターも好きなんだけどね。やっぱ、いいなぁ。諸星大二郎。