hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

珍しく正しい選択をした

UB40である。

 

UB40とくれば3rd「レイバー・オブ・ラブ」(1983)というアルバムや「レッド・レッド・ワイン」「好きにならずにいられない」等の曲が有名なのだろう。そういう曲を演奏するバンドとしてUB40を認識している人に言いたい。

 

UB40のデビューアルバム(1980)ほどトンガっている作品はない。今もトンガったまま燦然と屹立している。

 

このデビューアルバムのタイトルは「サイニング・オフ」という。「sigh off」の意味の3番目に「仕事をやめる」というのがあった。バンド名は、イギリスの失業者給付金の申請書様式名(失業給付40号形式)からとられたもので、アルバムジャケットはこの申請書の様式を模したものである(ウィキペディアより)。つまりはそういうバンドだったのだ。政治色バリバリなのだ。「好きにならずにいられない」が入る余地はこの当時にはない。1980年に16歳の僕がこのアルバムを買ったことを今でも誇りに思う。僕にしては珍しく正しい選択をしたのだった。

 

とにかくクールで尖っていてヒリヒリするんだよ。青白い炎なんだよ。1曲目「タイラー」からそれは始まり、最終曲の「サイニング・オフ」まで続く。サックスがこんなにクールに聴こえたのは初めてだった。もっと情緒的な音を鳴らす楽器だと思っていたのに。

 

ボブ・マーリーを聴いてはいた。が、何だか泥臭く聴こえてその後何十年も経ってからその良さ、洗練され具合いが分かってきた。ブリティッシュ・レゲエの旗手と一時期呼ばれたスティール・パルスも聴いてみた。それなりに聴いてはみたけれど「お勉強」に近かった。そこへきてのUB40である。その時の僕の気分にピッタリの音楽だった。つまり「ヒリヒリ」である。レゲエで表さざるを得ない切迫感がアルバム全体を包んでいる。

 

「The Lost Tapes-Live At the Venue 1980」というライブアルバムや「サイニング・オフ」のデラックスエディションに収録されているBBCセッションでもその「ヒリヒリ」は伝わってくる。僕は「Tyler」「Burden of Shame」「Food for Thought」「Signing Off」が特にお気に入りだ。

 

「ヒリヒリ」しているけれどそんなに敷居は高くないと思うな。曲調はマイナーなものが多いけれども聴きやすいメロディだ。演奏も安定している。ミュート・ビートを聴いた時、「あ、日本のUB40だ!歌無しの」と思った。UB40のセカンドを買わなかったのは何故なのかは分からない(他の人のブログを読むと、絶賛の嵐だった。1stは序章だったと言っている。手をのばしてみよう)。