hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

初めての一人旅

僕が初めてした一人旅は高1の時だった。サイクリングでの1泊旅行だ。ある金曜日の夜に突然、「自転車で何処かに行こう。明日。」と思い立った。サイクリングは中3の時に一度父としている。今回は一人で決行するぞ。そう決めた僕は布団の中で何処に行こうか考え、「北に向かって行けるところまでとにかく行く。その後のことはその時考える」という大雑把な計画を立てた。←思えば僕の旅行スタイルはこの時始まったんだな

 

朝早く起きて、両親にサイクリングに行くことを伝えた。父親は「ふうん、そう」という反応だったが母親は反対した。それを無視して、準備をしてすぐに出かけた。どっち方面へ行くのかだけを父親に伝えると、そっと1万円札を僕に手渡してくれた。

 

前回のサイクリングと違い大体が平坦な道だったので向かい風にさえ気持ちで負けなければ何とか走ることができた。

 

大体100㎞走ったら夕方になっていた。思いのほか早くある地方都市に到着することができた。この町にある駅の待合室なら夜を過ごすことができると考えた僕は、すぐに駅に向かった。待合室に入ると明らかに僕と同じことを考えている人たちが数人いた。僕らは黙って待合室の椅子に座りぼうっと人の流れを見ていた。今みたいにスマホなんかないのでぼうっとするしかなかったのだ。その後、夕食を食べてまた待合室でぼうっとしていたら、駅員さんが他の人に「夜はここは閉まるから泊まれないよ」と言っている。弱ったなと思い思案していたところ、30代くらいのお兄さんが声をかけてきた。「どこか泊まれるところを探さないか」渡りに船とばかりにお兄さんの提案にのった僕たちが見つけ出したのは、雑居ビルの階段の踊り場だった。

 

二人で寝袋を広げいろいろなことを話したが、どんなことを話したかは覚えていない。いつの間にか眠っていて朝になっていた。「これから何処に行くの」と聞かれ、「家に帰ります」と答えた僕にお兄さんは笑って「ほい」と言って何か投げた。それは、しわしわになったレモンだった。「元気出るよ。じゃあね」と言ってお互い名前も名乗らずに別れた。そのレモンの手触りは今でも覚えている。帰る途中口に含んだ時の強烈な酸っぱさも。

 

これが僕の初めての一人旅だ。このあと高2の時には京都往復、大学時代は能登半島を1周、働くようになって、淡路島1周、琵琶湖1周のサイクリングをした。なんだか僕はどこかを1周するのが好みみたいだ。しかもいつも突然思い立つというところもおんなじだ。