hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

家庭教師をしていた女の子からもらったもの

大学時代に中3の女の子の家庭教師を数か月していたことがある。その女の子からもらったもの、それは「新井素子」である。

 

その子と保護者は「社会」を教えてほしいと望んでいた。「社会?そんなの自分でできるだろ?」と思ったが、バイトする時間はあるし、お金はあんまりない時期でもあったのでまぁいいか、と思い毎週せっせと地元へ戻り家庭教師をしていた。

 

教科の特性上、僕から何かを教えることはあまりない。また彼女は賢かった。だから彼女が問題を解く、それに僕が注釈を入れる、というようなスタイルで勉強をしていたのだが、そうなると手持無沙汰な時間が出てくる。自然に彼女の書棚を覗くことになる。そこに新井素子の本があった。「星へ行く船」と言う本を手に取った僕は、たちまちそのお話に引き込まれていった。

 

「面白いな、これ」と彼女に言うと、「でしょ。よかったら貸してあげる」と言ってくれたのでありがたく借りて家で夢中になって読んだ。

 

何度か文体について書いているが、きっと今回もそうだったのだろう。新井素子の文体にはスピード感がある。女子のトークみたいだ。それにジェットコースターのようなストーリー展開。そこに魅了された僕は、自分で新井素子の本をどんどん購入することになる。

 

家庭教師最後の日に僕は彼女に当時の最新作「…絶句」を進呈した(内容はひっちゃかめっちゃかだが初期の最高傑作だと思う)。何かメッセージもしたためたと記憶している。

 

彼女とは音楽の話もできて、僕が録音してきた「サウンドストリート」のU2のライブを一緒に聴いたのもいい思い出だ。家庭教師に行ってお金をもらってて何やってたんだろう。

 

楽しい家庭教師だった(全然勉強の話が出てこなかったな)。でもちゃんと志望校を合格しましたよ。

 

新井素子とはその後、長い付き合いになった。