何がすごいって彼の仕事量である。
40歳からの彼の仕事ぶりを見ると、40代で9作品、50代で6作品、60代で5作品、70代で3作品(現在進行形)である(ざっと見て)。その間ライブツアーもしている。ビートルズ、ウイングスから数えると膨大な量の仕事をしているのだ、と改めて思った。
僕は、「タッグ・オブ・ウォ―」からリアルタイムで聴くようになった。といっても決して熱心なリスナーだったわけではなく、「パイプス・オブ・ピース」以後は、「あぁ、新作が出たんだ。」と松村雄策のレビューを読んで知る程度だった。当時の僕はどうも「バンド・オン・ザ・ラン」などでのポールのわざとらしいメロディがどうも馴染めなくて(「Mrs. Vandebilt」等)深入りすることはなかった。
しかし、ここ2年ほどから何となくポールを聴くことが多くなって、時々iPhoneのプレイリストがポールまみれになる時が多くなってきた。「バンド・オン・ザ・ラン」のメロディも受け入れられるようになった。今もまさにポール時代真っ只中だ。きっかけは、先日のリモート飲み会でかつてのバンドリーダーに教えてもらった「オフ・ザ・グラウンド」のラストの曲「カモン・ピープル」である。もしかしたら他にも名曲があるかもしれないと思い、2005年発表の「ケイオス・アンド・クリエイション・イン・ザ・バックヤード」を聴いている最中である。聴いていて思ったことは、どうもピアノやアコギ等のアコースティックな作品に佳曲が多いのではないか、ということであった。もう少し聴き込む必要があると思うが。しかし、現時点での最新作「エジプト・ステーション」では、元気いっぱいである。76歳なのにギンギンである。僕より20も歳上でこんなに…と思ってしまう。
話は変わるが、ビートルズ、ウイングス、「タッグ・オブ・ウォ―」等の名曲が聴ければもうそれで十分じゃないか。これから新しい展開があるわけでもないし、と思う方もいるかもしれない。僕もそうだった。でも最近それは違うのではと思うようになった。76歳のポールが相変わらずギンギンでやっていると思うと元気づけられるではないか。手癖で作っていようが前に聴いたことがある曲調であろうが、続けることにはちゃんと意味があるのである。元気が良くてもそうでなくてもとにかく続けるのだ。それが生きていくってことだ。それで時々楽しいことがあるともっといい。
1982 タッグ・オブ・ウォ― 40才
1983 パイプス・オブ・ピース 41才
1984 ヤァ!ブロード・ストリート 42才
1986 プレス・トゥ・プレイ 44才
1987 オール・ザ・ベスト 45才
1988 バック・イン・ザ・U.S.S.R 46才
1989 フラワーズ・イン・ザ・ダート 47才
1990 ポール・マッカートニー・ライブ! 48才
1991 公式海賊版 49才
1993 オフ・ザ・グラウンド 51才
ポール・イズ・ライブ
1997 フレイミング・パイ 55才
1999 ラン・デヴィル・ラン 57才
2001 ドライヴィング・レイン 59才
夢の翼~ヒッツ&ヒストリー
2002 バック・イン・ザ・US. 60才
2003 バック・イン・ザ・ワールド 61才
2005 ケイオス・アンド・クリエイション・イン・ザ・バックヤード 63才
2007 メモリー・オールモスト・フル 65才
2009 グッド・イヴニング・ニューヨーク・シティ~ベスト・ヒッツ・ライブ 67才
2012 キス・イン・ザ・ボトム 70才
2013 ニュー 71才
2018 エジプト・ステーション 76才
本文とは関係ないけど、ポールとプリンスの曲をたくさん入れてシャッフルして聴くと気持ちいい。