hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです。

400-過去最後

「仕事に対する考え方の上であなたは孤立していたのね。そして周りの先生達に欺瞞を感じながら仕事をしていた。当時のあなたはどんな授業をしていたの?」


「まだまだ力不足でろくな授業はしてこなかったよ。研究授業の後の授業整理会では、いつも他の先生にボコボコに批判されていたな。教材研究が甘いって。でもそれは良かったと思っているよ。今、誰に対してもキツいことは言わないからね。ただ、赴任2校目の学校研究の教科は自由だったんで、どんな授業にするかいろいろ考えることができたよ。そういう意味ではやりやすかったし、自分の居場所のようなものも少し作れたかな。」


「その学校では、今まで音楽の授業を持ったこともないのに担当することになって困ったけれど、逆に俺にしかできない音楽の研究授業をやろうと思ったんだ。それがラップだった。ドリフターズの『ひげダンス』、これを使えないかなってずっと考えてたんだけど、あぁ、ラップにすればいいんだってひらめいたんだ。それで子ども達でグループを作って、それぞれテーマを決めて『生麦生米生玉子』のところで子ども達が思い思いのことを順番に叫ぶ。その発表会をしたんだ。楽しかったな。子ども達の心をほぐす授業だったと思っているよ。『これからの教師には創造性が必要だと思った。』と感想に書いてくれた先生もいて嬉しかったな。」


「もう一つ思い出すのは、アニメーションだな。物を少しずつ動かしてデジカメで撮ったものをパソコンでつなげると、動いているように見える。これを総合的な学習に中に位置づけてやったんだ。準備が大変だったけど、これもグループで活動したんだ。みんな助け合って活動することができたよ。ラップもアニメーションもグループ活動を通して共感的な人間関係作りができることをねらっていたんだ。この思いは今でも変わらないよ。」


「そして何と言っても忘れられないことは、『そうじの歌』『給食の歌』を同僚と作ったことだな。ある日のふとした会話で、そうじの歌を作ってみるかってことになって、俺は主にプロデューサー、同僚はギターや作詞作曲を担当したんだ。『♪おそうじを始めよう~』っていう風に休み時間が終わったら放送していたよ。給食の歌を作った時は、他の先生や子ども達も巻き込んでいろいろな要素を盛り込みつつ素敵な曲に仕上がった。聴く?」


「ええ、聴かせて。」
チアイはそう言った。懐かしそうな目をしていたのが不思議だった。2曲聴き終えたチアイは、
「こんなことができる学校って素敵ね。今じゃ考えられないんじゃない?」
と言ったので、
「確かに。それに一人じゃできなかったからね。共同作業を思いっきり楽しむことができたよ。でも、他の先生からは、俺は優しい雰囲気で授業をするけど、ちょっと変わった先生として認識されていたと思う。でも国語や算数の授業についての勉強はあまりしなかったから、授業力がついたは言えないな。」
と答えた。


「何か自己顕示欲丸出しだな。話してみて分かったよ。俺は、俺の考え方や授業を他の人に認めて欲しかったんだな。」


「確かにあなたの言う通り、あなたは周りから認めてもらいたかったのね。それからどうなったの?もっとあなたの話を聞かせて。」


「ちょっと一服させてくれない?自分がどんなに嫌な感じの人間だったかに打ちのめされたよ。そう言えば、同じように自己顕示欲丸出しの小説みたいなものを最近書いたんだ。投稿したけど採用はされなかった。それを読んでいてくれるかい?」


「あなたのことなら何でも興味があるから、読ませて。」


「これだよ。」と言って、私はプリントアウトしてあった原稿を渡した。