hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

倍と割合について

東書のホームページ「小学校教科書のご案内」の算数を覗くと、、、「教材の特長的な取り扱い」の「倍と割合」で「下学年から、割合に関する学習をていねいに積み上げる」という項がありました。

 

まず、「3年以降は、倍に関する内容を単元化して、三用法をセットで扱うようにしました。常に三用法を相互に関連付けてとらえることで、倍についての理解を深めます。」と書いてあります。

 

評価できるところは、倍に関する内容を単元化したこと。これによって縦の系統が3年から(本当は2年からだけど)位置づけられるということです。今までは、倍と割合に関する教材研究をするのは、主に5年の先生だけだったりするケースもあったと思います。しかしこれからは、少なくとも3年から6年の先生は、倍についての教材研究をしていかなければいけないと思います。僕は、「倍、割合」については、全校で取り組むべき学習内容だと考えています。そういう意味は、3年から三用法を学習することはいいのではないかと思いました。

 

一方で、3年生が理解するには難しくないか?という思いも強くあります。特に第三用法を□を使って順思考するのは無理がないでしょうか。無理があるとすれば、当然「教え込み」になります。数直線を使って解決するのはどの学年でも同じなので3年から学習していれば4年5年の時は、抵抗が少ないと思われますが、形式的なものになるのでは、という危惧もあります。

 

最後に。これが一番言いたいことなのですが、どの学年でも「割合の意味を教えていない」ということです。3年では「もとにする大きさ」という言葉を使い、4年では「もとにする大きさを1とみたとき、くらべられる大きさがどれだけにあたるのかを表した数を、割合といいます。」という説明をしています。でもこの意味が分からないから、学力調査でも低い点数になるのではないかと思います。

 

では、どうすればいいのか。まず割合の意味を教えなければいけない。どうやって?どの学年で?となると思います。扱う学年からすると、こうなるとやはり3年生で学習するべきだと思います。そして教科書の単元に入る前段階として扱うべきではないでしょうか。例えば、30㎝物差しを白い紙で覆い、「1」と書き込んでおきます。そして、児童に「これを1としたら、黒板の縦の長さは、何になると思う?横の長さは?」と問いかけます。すると、児童は「黒板にあてて数えればいい。」と答えるでしょう。結果はもしかしたら、縦5横8くらいになるかもしれません。次に1m物差しを同じように白い紙で覆い「1」と書いたものを提示し、「これを1とみたら、黒板の長さはどうなる?」と問いかけます。すると当然数字が変わってきます。割合の意味で一番大事なことが「何を1としてもいい。」です。それをまず教えなければいけないのではないでしょうか。次に、さっきの「1」と書いた30㎝物差しを出してから、もう一つ60㎝の紙テープを用意します。(本当は縦に並べた方が分かりやすいでしょうが)教科書のように横に並べて、「さっきのを1とするとこの紙テープは何になる?」と問いかけます。多くの児童が「2」と答えるでしょう。そうしたら、「じゃあ、2だって分かるようにして下さい。」と言うと、60㎝の真ん中に線を引くと思います。「なるほど。よく分かった。」と答え、次のように問いかけます。「実は1って書いてあるものは30㎝なんだ。そうしたらこっちはどうなると思う?」児童は、60㎝だと答え、30×2をしたらそうなると答える児童もいるでしょう。ということは、お気づきの方も多いでしょうが、割合の第二用法から学習していることになります。そうなると、すべて割合の式は、1とみる量×割合=比べられる量 という1つの式に帰結します。それを手がかりにすると、第三用法も抵抗なく立式できるのでは、と思います。ただそうなると、教科書通りの流れにはならないので、そこを先生たちで話し合う必要が生まれます。先生達が教材研究し合う素地はこの教科書にはあるかもしれないと思っています。

 

もう一つ。「倍と割合はどう違うのか。」これが教科書では明記されていません。今までの教科書でもそうでした。前述した4年生の教科書の説明では、説明になっていません。これについても話し合う必要があるのではないでしょうか。

 

小学校の難教材の一つである「倍、割合」についてたくさんの先生を巻き込んで教材研究を行える学校って素敵だと思います。

 

広島県尾道市立土堂小学校の系統表も参考になるかもしれません。